『竜とそばかすの姫』がとってつけたような急ごしらえの全方面良いとこ取りみたいな作品で限界を感じる



どうも、みなさまこんにちは
今回は『竜とそばかすの姫』について語りたいです。

今絶賛公開中の映画で監督は細田守さん。
得意の仮想世界と現実世界をリンクさせて
世界を救ったりなんなりする作風が
今はメインになりつつある感じがします。

つい先日にこの作品を観てきましたので
今までの細田守作品も踏まえて
個人的観点全開にレビューしたいと思います。
ネタバレあるので注意してください。

それではどうぞ!


細田守作品

細田さんは2000年代初期から頭角を現し始め
当時のアニメ作画では独特なタッチで異彩を放っていました。
細田さん自身の作品というよりかは、
アニメーターとして既存の作品の監督を務めることが多く、
デジモンアドベンチャーやおジャ魔女どれみなどの
通常回を演出したり映画を監督したりして、
徐々に知名度を上げていきました。

ぼくらのウォーゲーム

細田さんが評価を得始めたと言える作品は
まずはこの作品、2000年3月4日に公開された映画作品。
デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!

これはリアルタイムで映画館で観に行ったのを覚えています。
幼いながらにも上質の作品を堪能していたんだなぁと
今あらためて見返してみてもしみじみとそう思います。

サマーウォーズや今作の竜とそばかすの姫の走り的な
仮想現実と現実世界を舞台に展開される系作品です。

子供でもとっつきやすい内容になっていて、
まだネットが普及するだいぶ前である2000年の作品で
前代的であるにも関わらず非常に分かり易く
ネットの世界を表現していて
本質であるべき伝えたいことが非常に明確で
今の2020年代でも十分に伝わる、いや、
今だからこそ観るべき作品なのかもしれません。


どれみと魔女をやめた魔女

こちらは映画とかではなく、
おジャ魔女どれみドッカ~ン!』というシリーズ4作目の
通常回で放送された伝説の回として語り継がれています。
ちなみに細田監督はおジャ魔女どれみシリーズには
2回ほど演出を担当しています。

大まかな概要的な部分で言うと
おジャ魔女どれみシリーズというのがそもそも
無印#も~っとドッカーンという展開をしており
小3⇒小4⇒小5⇒小6と登場人物たちも加齢していきます。

で、最終シリーズとなるドッカーン
魔女の道を選ぶか普通の人間の道を選ぶか
という選択が主人公たちに迫られます。
魔女になると、寿命が何千年も伸びて
普通の人間たちと同じ時間の速度で暮らせず、
それ相応の人生の覚悟が必要となります。

そんな人生の岐路の迷いの中で
どれみは特に自分に得意なものであったり
目指すべき夢だったりとかが
他の魔女見習いメンバーの中では無い方で
自分の進むべき道に漠然と迷っているところ
魔女をやめた魔女に出会うといった話が、
この細田監督が演出を手掛けたお話となります。

おジャ魔女どれみシリーズ自体
人の心の様相であったり、
誰かのために、何かのために
自分がとるべき行動とか
そういう道徳的な観点で見て
非常に素晴らしいものだと僕は思っているので
是非とも人の心を持っている方は見て頂きたいです。
でも全シリーズ214話あるので見るの大変です。
僕は高校生の頃にガチで暇だったので全話見ました。



時をかける少女

こちらは細田守さんが
東映アニメーションを退社してフリーとなって
たぶん初めて監督を務めた作品です。

僕自身当時高校生でフジテレビかどっかで放送してて
それを見てめちゃくちゃハマった記憶があります。
たぶんこんな高校生活に憧れを強く抱いていたのでしょう
プラスでタイムリープ系のSFチックな作品が大好きなので
当時だけでも5、6回は見たと思います。

内容自体はタイムリープものなだけあって
少し複雑で難しく矛盾もあって
辻褄が合わないような部分があるのですが、
雰囲気と展開スピードがとても良く
要所に散りばめられた伏線や
登場人物たちのさりげない表情とかから汲み取れる感情だったりが
とても巧みで見ていて飽きません。

その他

他にもサマーウォーズとかおおかみこどもとか
バケモノの子とか未来のミライとか色々あるんですが
個人的にそこらへんは大体1回きりしか見ておらず
内容があまり頭に残っていないので割愛します。


竜とそばかすの姫

あらすじ

ざっくり見たところのあらすじですが、
Uという仮想現実のような世界が存在し、
自身のアバターキャラみたいなのがあって
自分の体型とか顔の特徴がそのまま反映される
なんとも恐ろしいソーシャルメディアサービスが存在してます。

主人公のという少女がおり、
幼い頃に母親を亡くして家族とあまり話さなくなり
内気な感じで友達が少ないのですが、
Uという仮想現実の世界では
幼い頃に培った自身の音楽の才能をフルに活かし
絶大なフォロワーを誇る歌姫となって、
その仮想空間と現実世界で巻き起こる問題を
解決していく(?)みたいな感じの話でした。


物語を一本の線で見た時のちぐはぐ感

ぶっちゃけた感想としては、
ありとあらゆる作品の良いところを
すべて詰め込んでみました感が強く、
そうしてしまったからなのか
物語が一本の線で繋がっていないような
起承転結が感じられませんでした。

ここ最近の細田守作品って大体こんなイメージなので
あぁこれもかって感じなんですけど
要所要所では凄く良いシーンもあるのですが
点と点が繋がらないんですよね。

脚本とか作る時に大まかな1本のストーリーを
骨組みから作っていくと思うんですけど、
細田さんの長編作品って「あれやりたい」「これやりたい」
をただ詰め込んで寄せ集めたような
キメラのような物語になってしまっていて
なんの話だったの?って感じに陥って
とてもちぐはぐしてしまっています。

ジブリのような、ディズニーのような、
ミュージカルのような、仮想世界と現実世界、
日本の田舎、etc…
なんか世の中でヒットしてきたもの
集めましたって感じですね。
それでこのクオリティは正直もう限界かってところです。


感情に寄り添えない不自然さ

物語云々を置いておいたとしても
どうもキャラクターの感情に不自然さが出てしまいます。
作り物感というか、まぁ映像作品なので
作り物に違いはないんですけど
そこをいかに現実に近付けて自然な演出をするかが
腕の見せ所ではあると思うのですけど
なんか今作を見てて気になったのは
邦画あるあるでもお馴染みの
顔面ドアップシーンに何十秒も尺を使っちゃったり
チャージマン研!か?ってくらい
謎のリアクションの間があったりしてて、
時をかける少女とかぼくらのウォーゲームの頃は
もっと自然に近くて表情のさりげなさとかから
汲み取る感情が凄く好きだったんですけど
今はこれ見よがしになんかそういうシーンが無駄に長くて
さすがにそういうの疎い人間向けに作らなくていいでしょ
ってくらいにわざとらしさが
溢れんばかりに滲み出てますね。

あと気になったのが
鈴が竜の正体を探ろうとするシーン。
これってもう一つの世界みたいな謳い文句の
仮想世界であるはずなのに
なんで現実世界の正体を突き止めようとしてしまうのか。
そんでもって正体とか事情が分かったとして、
あれ、鈴だけ東京に行ったけど他のみんなは…?
てか行ったところでなんで親父びびってんの?
ここらへんの感情が全く理解できませんでした。
なんか難しいところは適当に誤魔化してる感が凄いかな。
良い意味でも悪い意味でも子供向けというか
子供騙しな作品かなぁって印象です。

あとなんか終始気になったのは
素人声優オールスターズ?ってくらいなんか
ほとんどのキャラの声の演出に違和感があって
しゃべる内容よりもしゃべり方に注意がいきがちで
内容がスっと入ってきませんでした。


総評

いつもの細田守さんの作品でした。
昔は良かったなぁとか言いたくはないんですが
昔はもうちょっとキレがあったような気がします。
今は商業的な制作に魂を売って
良いとこどりをした挙句にこの完成度で
ちょっともう限界なのかなって思います。

なんか2016年くらいでしたか、
『君の名は。』が爆発的にヒットしたころに
売れる要素だけ詰め込めばそりゃ売れるだろ
みたいなこと言ってた作家だか誰かがいましたが
この『竜とそばかすの姫』がまさにそうなんですけど
詰め込めば良いってもんじゃありませんね。

ついでに以前書いた『君の名は。』の記事は
以下になります。

新海誠監督作品

どうも、みなさんこんにちは。今回は日本で社会的ブームになった『君の名は。』について語ります。『君の名は。』ってなんですか?って方はあまり居ないとは思いますが、タイトルだけ知っていて作品の内容は知りませんという方もいると思います。本稿に関し[…]



千と千尋の神隠しとかを例にしちゃうと
初見だと意味わからん作品だと思うんですけど
あれって意味が分からないなりにも
しっかりと筋が一本通っていて
一つ一つを紐解いていけば理解に足る作品ですが
細田さんの作る作品はあっちこっち行き過ぎて
ガチで意味が分からんです。
昔はけっこう好きでした。


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