銀魂がこの世に与えた15年



どうも、みなさまこんにちは。
今回は『銀魂』について語りたいです。

銀魂とは、空知英秋先生による日本の漫画であり、
主に週刊少年ジャンプで連載されていました。
名前だけなら誰でも知っているのではないでしょうか。
基本的にはギャグ漫画ですが、大筋となるストーリーも存在し
下らない日常のなんてことない話から
涙を誘う感動的な人情話まで幅広く描かれています。

僕は2007年7月19日放送回の第65話
「少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る」を
たまたまテレビ付けてたら放送していたので
なんとなく見てたらかなり面白かったので
後にニコニコ動画とかで調べまくってハマっていきました。

2021年1月8日(金)に公開された映画『銀魂 THE FINAL』が
アニメ版の最終回となっており、つい先日観てきたのですが
めちゃくちゃ泣きましたね。素晴らしかったです。

そんな15年という長い歴史を持った『銀魂』について語っていきます
僕は一応アニメ派なので、基本的にはアニメをベースに紹介します。
上述した映画のネタバレは少しあるかもしれませんが、
それ以前の話のネタバレあります
ではどうぞ!


銀魂とは

週刊少年ジャンプで2004年2号から2018年42号まで連載。
最終章突入とか、あと1年で終わりますとか、
終わる宣言をしていたにも関わらず話がまとまらず引き延ばされて
ジャンプでの連載が終わってしまい、別雑誌での連載や
公式アプリでの配信を駆使し、
物語がようやく結末を迎えました。

連載当初は誌上アンケートの結果が振るわず、
打ち切りすれすれの掲載順位が続いていたようで、
その後少しずつ人気を博していき、
終盤は数度の連載先の変更を経て、15年半に及ぶ連載となりました。
完結に至っては、3度の告知や最終話の配信延期を繰り返した事から
「終わる終わる詐欺」とも称されています。

アニメ版では結構前から終わる終わる詐欺のような
視聴者を釣るような放送を何度も行っており
終わる終わる詐欺に関してはアニメが先であって、
オリジナルみたいなところはあります。

概要

主人公である坂田銀時万事屋(よろずや)という
依頼されたことはなんでもこなす屋さんを営んでおり
依頼人の問題を解決していくといったスタイルです。
基本的にギャグ回が多く、てんやわんやの波乱万丈のような
こち亀やドラえもんやサザエさん方式に近いです。

万事屋には銀さん以外にも
志村新八と神楽という2人のメンバーがいます


世界観

世界観が少し捻られて変わっており
主人公の銀さんが住んでるところは地球の江戸なのですが、
天人(あまんと)という異星人が闊歩しており、
これはかつて人間vs天人の攘夷戦争というのがあったのですが、
幕府が降伏したことによって異星の文化が流入し、
江戸が現代の文化水準になってるみたいなイメージです。
車や飛行機や宇宙船は当然のように出てきますし、
コンビニやケータイやDSみたいなゲーム機とかも出てきます。
ジャンルとしてはSF時代劇という体裁を採っています。

攘夷戦争が終わった後は廃刀令となり
武装が許された真選組と、
倒幕を企む攘夷志士以外は刀を持っていません。
主人公である銀さんは木刀を帯刀しています。



銀魂の魅力

銀魂が他の作品とは違って面白いと思える部分がいくつかあります
近年のアニメこそ当たり前になってきてはいますが、
演出の仕方やメタ的な発言ひとつとっても
わりと銀魂が切り拓いてきたんじゃないかなって感じがあります。

テンポとセリフ回し

まずなんといってもテンポが良いです
ジャンプアニメ特有の顔面ドアップシーンで時間稼ぎとか
そういうものは殆どなく、
あったとしてもそれをネタにして
引き延ばし作戦とか思いきって言っちゃってます。

自然な人間たちの会話が繰り広げられているのと同じなので
見ている側もストレスなく視聴できるのがポイントです。

そして自然なテンポでの自然な面白味のある会話
どうでもいいような下らない冗談とかも散りばめてあって
それに対してしっかりボケとツッコミを行っていて
わずか4、5分の尺でもめちゃくちゃセリフ量があるのが特徴です。
漫画だと字が多くて読むのが面倒だったりしますが、
アニメだと自然に勝手に進んでいってくれますので
この手のタイプの作品はアニメで見るに限りますね
間とかしっかり意識されて作られています。


【銀魂】4年目おめでとう 銀魂 ラジオ体操


パロディ

他作品を普通にオマージュしたりすることも銀魂の特徴です。
特にアニメですとその暴走ぶりは凄まじく
完全にドラゴンボールやシティハンターの曲をそのまま使ったり
セリフの中に他作品のキャラ名とか普通に出てきます。
最初こそは斬新で面白いのですが、ずっと銀魂を見ていると
なんだか当たり前のような感じになってきてしまいます。

アニメ放送は節目の回だったり、期の終わりの回だったり
あとはストックがなくなったりするとパロディに走る傾向があります。
大体の有名どころ作品は制覇しており、
特にドラゴンボールとジブリは多めです。
アニメや漫画だけでなく有名な番組をパロディすることも多いです。

初期あたりはけっこうな無法地帯で、
アニメ界のフロンティア的な存在だったかもしれません。
今回公開されている『銀魂 THE FINAL』も
このパロディ要素をふんだんに使われているので
昔ながらの銀魂って感じで楽しめます。


人物の相関

銀魂の面白さは人との繋がり方にもあります。
主人公の坂田銀時を中心に多岐に渡って枝葉が伸びており
主人公以外のそれぞれの関係性も見ていて面白いものです。



万事屋銀ちゃん

銀さんが営むなんでも屋さんで
数々の依頼や事件を解決していくうちに
たくさんの人々との繋がりが出来上がります。
新八、神楽、定春も最初から銀さんと知り合いでも縁者でもなく
困っているところを助けてあげて今の関係になっています。

作中で幾度か万事屋が解散の危機になることがあります。
物語終盤になると銀さんが万事屋を始めた理由を知れる話があり、
やることがなく、何もやる気がなかったから
だったら何でもやろうと『万事屋』を始めます。

そして、銀さん自身にやらなきゃいけないことができ、
万事屋の看板を降ろして解散します。
この話はアニメ第362話で判明します。



真選組

女性ファンから絶大な人気を博し、
人気投票では沖田総悟と土方十四郎は2位、3位を獲得しています。
政府から武装を認められている警察機関であり、
普通の警察みたいな機関も存在しているのですが、
真選組は戦闘に特化しています。
刀を腰に差しバズーカや爆弾なども使い
国家転覆を目論む攘夷志士などを成敗しています。
幕府に仕えている組織であるため、
主に幕府の命に従い任務を行うことが多く、
将軍のスノボ旅行や将軍のペットであるカブトムシの捕獲など
命を張った危険な仕事から将軍のプライベート事情の補助まで
色々な仕事を任されています。

万事屋との関係は初期からあり、
いがみ合いの多い関係ではあるものの
幾多の問題を解決していくにつれて、
心の底では信頼し合えるほどの関係になっています。
(でも表面ではやはりいがみ合ってます)

個人的には初期の近藤さんがめちゃくちゃ好きでしたが、
ギャグでの下ネタ乱用され始めたあたりから
「うーん」って感じになってしまいましたね。



かぶき町の面々

新八の姉や元お庭番衆や吉原百華の頭領、柳生一門の当主など
各所様々な知り合いもいます。
が、初登場こそはシリアス篇みたいな回で出てきますが
その後は大体ギャグ要員として出てきます。
彼女らは人気投票篇でダイヤモンドバキュームを結成し
似非関西弁及び似非ロボットダンスでエレクトロしていました。

なぜか全員が全員、銀さんのヒロインみたいなポジションを通過して
最終的にはなんでもない感じになるんですけど
せっかくキャラ立ちしてるので
銀さん以外の誰かと何かあればよかったですね

柳生や吉原やお庭番といった名立たる所のトップなので
いざとなった時は本当に頼りになる者たちです。



攘夷志士

天人に屈した幕府を憎み、倒幕を企む連中が攘夷志士です。
その中でもリーダー格なのが桂小太郎です。
彼は銀さんとは幼馴染で、攘夷戦争というものを共に経験してます。
その流れで桂は現在も攘夷活動をしており御尋ね者なのですが、
万事屋となった銀さんと数年ぶりに再会し、
彼とその周辺の人らと絡んでいくうちに
過激だった攘夷活動も徐々に和らいでいきます。

中盤、後半は基本的にギャグ要員でしかない感じですが、
本当は生真面目な性格で少年時代はツッコミ多めで
銀さんたちが悪さした後始末等をしていたのも桂がやっていたそう。
物語の後半では江戸が乗っ取られる感じになるので
真選組だの攘夷志士だのとの垣根がなくなり
桂が日本の新政権を担う場面も出てきます。



鬼兵隊

高杉晋助が率いる過激派の攘夷浪士たちで
かなりの悪党集団として登場しました。
真選組の崩壊の危機に何度か暗躍しており
裏から駒を操り倒幕を企んでいます。

高杉も銀さんと同じく少年時代からの幼馴染であり、
桂とも同じ関係で、かつての同志であります。
攘夷戦争を経て幕府に対する恨みが大きなものへとなり
大体起こる国の問題には鬼兵隊が絡んでいます。
「俺ァだだ壊すだけだ、この腐った世界を」
という中二病くさい名言が高杉にはあります。

だいぶ過激なためこの世界を享受して生きている銀さんたちとは
相容れることができないため敵対関係にあります。
桂とも同じ攘夷志士で目的は同じではあるのですが
やり方や考え方が異なるようで、こちらも敵対しております。



快援隊

坂本辰馬という銀さんとかつて攘夷戦争を共に戦った1人なのですが、
戦争が終わった後は常に宇宙中を飛び回って商をしており、
地球にも時折訪れて江戸の商社や商人相手に取引を行っています。
銀さんや桂たちとは少年時代からの知り合いではなく、
攘夷戦争時代から知り合いました。

副官である陸奥は神楽と同じ戦闘に長けた夜兎族で、
ちゃらんぽらんな坂本さんの補佐を行っています。
しかしけっこうブラックにボケることもあるので
坂本さんがツッコミに回らざるを得ないこともあります。

快援隊基本的に誰とでも友好な関係を築いていけるので
特に敵対してる組織とかはおりません。




他にも登場しているレギュラー的なキャラは山ほどおるのですが
紹介していたらキリがないのでウィキペディアとかで詳しく見てください!


シリアス回

銀魂は基本的にはギャグ回で構成されていますが、
笑えるだけでなく泣ける人情話もたくさんあります。
特に初期の頃は基本1、2話完結のちょっとした話なのですが
普通に涙流すほどに泣ける話が多いです。
というかむしろ初期の頃の方が、
心に響いてくる話が多かった気がします。

作品の中期・後期あたりに差し掛かると
わりとシリアス長篇が多くなっていき
読者や視聴者からは賛否両論ありました。
ちなみに僕はシリアス篇は好きな話は好きだけど
正直微妙だなァって話もありますね。

後半になるとほぼシリアスで、シリアス話の中に
少しギャグ盛り込むとかそんな塩梅になっていきます。
でもキャラのルーツなどの伏線を回収させるためでもあったりするので
そこらへんの設定はわりと初期から匂わせてあり
後付けってほどの設定でもなく、ふざけたように見せて
実はちゃんとしっかりキャラクターというものを
作っているんだなと思わされましたね。
まぁけっこう初期から僕は感じていたんですけど。

基本1話完結ではあるものの
こういったシリアス回での設定やらが後に生きてくるので
シリアス長篇に関しては順番に見ていったほうが良いと思います。


攘夷戦争

銀魂を語る上ではかかせない
物語の根幹ともなる大きなターニングポイントが
〝攘夷戦争〟です。
この設定は初期の頃から存在し、
ずーっと匂わせてどういったものか
なかなか明かされて来ませんでした。

主人公である坂田銀時は、
現在は万事屋銀ちゃんというなんでも屋を営んでいるのですが
実はその数年前に攘夷戦争というものに参加しておりました。
上述の人物相関で少し紹介しましたが、
桂小太郎、高杉晋助、坂本辰馬らと結託し、
地球を天人から護るための戦争です。

しかし銀さん高杉は国がどうとかは正直どうでも良くて
子供の頃からの師である吉田松陽が捕らえられてしまい
松陽先生を救うための目的でこの戦争に参加しています。

松陽先生は松下村塾という寺子屋を開き、
銀さん、高杉、桂たちをはじめとする子供たちに
剣術や手習いを教えていました。
親がいない銀さんは松陽先生は親のような存在であり、
そして高杉も肉親から勘当された身であったため
先生からの教えを受けて大変尊敬しておりました。

しかし攘夷戦争では松陽先生を救うことができず
奈落という組織に高杉、桂共に捕らえられてしまい
銀さんに与えられた選択は「師を斬る」か、「仲間を見捨てる」か
というものでした。
松陽先生からは仲間を護ってあげてください
と教わっていた銀さんは自らの手で松陽先生の首を斬ることで
高杉と桂の命も救われます。
自らの命は助かったものの
結局救いたかった先生はこの世からいなくなり
銀さんと高杉と桂はそれぞれ別々の道を歩んでいきました。

後に高杉と銀さんが再会し対峙する際に言うのですが、
「憎むべきものが幕府ひとつであればどれほど楽なことか」と。
そう、己の非力さで大切な先生を失い
憎むべき存在は自分自身でもあり、
銀さんにその咎を負わせてしまった
自らの命を絶つよりも安くない〝 〟が
高杉にとっての銀さんであるのです。

この攘夷まわりの話というか
かつての同志が別々の道を歩んで
それぞれが別々のことやりつつも
そこでは各々がリーダー格になっていて
いずれ再び交わる日が来るのかなっていう
ワクワク感が当時ありましたね。
ニコニコ動画とかで攘夷系のMADとかよく見てました。


銀/魂 攘夷MAD 【MMD銀魂】攘夷の人たちでハロ/ハワユ


そこからまぁ時間軸が現代になって
なんやかんや色々あって
最後はお互いの目的は同じだということもあって
というか銀さんも高杉もお互いの心内は最初から分かっていて
最後は虚というラスボスを討つために
共に戦うことになります

かつての同志が道を違い
敵対し合っていたけど(特に銀さんと高杉)
先生を救うために共に手を取り
最後は一緒に同じ目的を果たそうとします。
その最後は『銀魂 THE FINAL』で描かれています。


洗練されたOP&ED

アニメの銀魂はOP&EDの作り込みがとても素晴らしく
なかなか飛ばして見れません。
作中では描かれていない彼らの日常の様子とか
垣間見えてくるようで見ていて楽しいですね。

僕が特に好きなOP&EDの7選を載せておきます。
(リンク切れてたらごめんなさい)



銀魂と15年を過ごして

アニメ版の最終回にあたる『銀魂 THE FINAL』ですが、
最初から最後まで笑って泣けて大変素晴らしい締め方でした。
特に高杉とのアレはアニメならではの演出の仕方で、
つーか無音シーンが長すぎて涙と鼻水すするの我慢してました。
それほどに泣けましたね。
僕、わりと初期から高杉ってどうなるんだろぉとか思ってて
銀さんの幼馴染だし一緒に攘夷戦争を共にしたし
師匠は同じ松陽先生だし
いがみ合ってはいるものの根っこは同じだろうから
なんやかんやあって考え方も変わって
日常回でギャグとかするくらいにまで丸くなるのかな
とか色々と妄想を繰り広げていたこともあったのですが、
やってきた悪事の数々が笑いで済まされない事ばかりで
さっちゃんのこと刺してたりもするし
悪党には悪党なりの、でも高杉なりの着地の仕方というか
まぁそうなるよねって感じでした。
でも少しでも銀さんと共に肩を並べて江戸を歩き
共に手を取り合って戦うシーンは非常に尊いものです。
僕の一番好きなキャラ銀さんと高杉が同率くらいなんですけど
この二人の禍根がメインに回った作品のラストでした。

で、映画はとてもよかったんですけど
ちょっと残念だったなって思うのが
2年後設定で物語は進んできたのに
なんか急にみんな昔の姿に戻っちゃったのが
「え・・・?」って感じでしたね。
映画というよりかは原作側へのアレですけど、、、
それぞれの思い思いの二年を過ごしてきて、
お妙さんとか月詠とか新八とか神楽とか
なんでヘアスタイル2年前に戻っちゃうのっていう。
なんか過去にずっととらわれてしまってるような
ちょっとマイナスイメージが勝手に自分の中にできてしまって
銀魂って未来に向けて飽くなき明日を生きててほしいみたいな
そんな日常の変化を少しずつ受け入れつつ人も変わっていって
っていうような作品だと思ってましたが
変化を拒むかのような演出はちょっと残念でしたね。

あとこれも原作の残念だったなぁって部分で
物語終盤の大団円の持って行き方が
ワンパターンすぎるってところですかね
なんかもう「俺たち個性強すぎてバラバラだけど
いざ全員が力合わせたらめっちゃ強い」みたいな演出って
けっこう過去に何度か見てきた気がするんですよね。
それがくどいなってのがあって
虚を1回目倒すときあたりの話は
あまりワクワクして見れませんでしたね。

なんか文句ばっか言っちゃいましたが
ブルーレイBOX全巻買う程にはファンなのです。
(愛があるからこそ言えるかな)

映画『銀魂 THE FINAL』を観て改めて
銀魂って作品の集大成・有終の美
最後まで「銀魂」って感じというか
あの頃ハマった当時の銀魂らしさが残ったまま
笑いと涙で終わらせてくれました。

僕にとって『銀魂』ってのは新しい価値観とか
そういったものではなくて、
「こんなのあったら面白いのにな」っていう価値観が
そのままこの世に作品として現れたようなもので、
笑いも涙もドストライクに心に突き刺さってくる作品でした。
漫画で、アニメで、それを表現・演出されている尊き作品です。
僕も銀さんのような人間になりたかったです。

空知先生・アニメスタッフの皆さま
お疲れさまでした。
ありがとうございました。

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