裁判員制度の実態に迫る


どうも、みなさんこんにちは。
今回は裁判員制度について語っていきたいと思います。

裁判員制度、知っていますか?2009年5月から実際に運用された裁判の制度の1つで、一般市民が裁判員として起訴された被告人を裁判官と一緒に審議をして量刑を決めるシステムです。
僕が高校3年くらいの時に裁判員裁判が実装されるぞみたいな感じでニュースで取り上げられたり、初めての裁判員裁判の取材がテレビでやっていたのを覚えていますが、自分には関係ないし当たるわけないだろって思っていました。
そんな僕が裁判員の無作為と謳う抽選に見事当選し、実際に裁判員裁判に参加し判決までについて語っていきたいと思います。


裁判所から見知らぬ手紙

まず裁判員になる前に、裁判所からしっかりとした封筒に入ったお知らせ送られてきます。「あれ、オレなんかやっちゃいました?」てな具合でかなりビビりますが、中身を見てみると、あなたはこの1年間は裁判員に選ばれる可能性があります的な内容になっています。

裁判員リストみたいなものに選ばれ、1年間そこから都度抽選して裁判員を選出しているようです。抽選に選ばれてもそこからさらに人数を絞る抽選があるので、まぁまず普通の人間なら当たることはないでしょう。僕も当時はそう思いました。

そしてそんな手紙が来ていたこともすっかり忘れ、年度がもうすぐ変わる12月くらいの頃に、再びその手紙がやってきます。
「え…?これ狙ってきてるやん」
ふとそんな思いが頭をよぎります。まだ序盤の時点ですが第二選考くらいまでくるともう嫌なものは当たることへ一直線な人生なところはあります。その手紙の内容は、抽選に当たったから、さらに先の選考に進むためにまた抽選をするから、今のうちに出られない理由がある人はその理由を書いて送り返してくださいみたいな内容です。

ちなみに仕事が忙しいとかの理由は無理で、本当に自分がいなきゃ損失が発生するとかいうレベルでないとダメみたいなことが注意書きされています。あとは体が不自由なお年寄りの方とか持病を患っていたり、そういう理由があれば辞退できるようです。

特に辞退する理由がない人はそのまま何も返送せずにいればさらに勝手に抽選は次のステップへ進んでいきます。この時点で僕は辞退したかったのですが、特に理由もないし司法から変にマークされたくねぇしって感じでまぁこの先の抽選で当たらないことを願いつつ辞退はしませんでした。


最終選考からいざ裁判へ

予想通り僕は次の選考へコマを進めることができ、最終選考へと向かいます。この選考は各裁判単位(起訴された事件)での抽選が行われ、実際に裁判所に50名程集められてそこで説明を受けて8名が選出されます。なぜか僕は2つの裁判(起訴された事件)の抽選に参加しろみたいな手紙が来ていて、完全にロックオンされてる感じがありました。その手紙も最終意思確認みたいな内容で、同意したら送ってねって感じの内容です。たしか裁判員に選ばれた際の給料的な支払いの銀行口座の内容とかも書かされた気がします。あ、ちなみに日当上限8000円くらいまで貰えた気がします。
で、そんな感じで2つの裁判の抽選に参加しなくてはいけない僕は書類を書いて送り返す量も2倍です。いや、もう俺を裁判員にしたいなら名指しで選んでくれよって感じです。

そして2つの裁判の抽選に行くのですが、まず1つめの裁判の抽選、50名の中から無作為に選ばれるということをやたら強調して説明されます。ここに来ている人は20代〜70代くらいの年配の方まで様々です。僕は当たりたくない一心ですが、世の中には裁判員になりたいって人もいるようで、こればかりはどれだけやりたい意思が強くても抽選なので当たらない人は当たらないようです。一生に一度当たるか当たらないかって確率でもあるので、僕はここまで来たらまぁ選ばれたら選ばれたで良い体験になるしいっかってスタンスでいました。ただ、やはり心のどこかではハズレろ!と願っています。しかしここで外れてももう一個の裁判の抽選があるのですが、、笑

ちなみに裁判員になれる確率は人生の中で約220人に1人。確率で言うと0.45%です。高いのかよく分かりませんが現時点では縁遠いものなのでしょうかね。
そして抽選が終わったと言ってホワイトボードに番号が書かれるのですが、当然のように僕の番号は書かれていました。運命には抗うことは出来ないようです。この後に選出された8名は別室で説明を30分程度受けてその日は解散となり、次に裁判所に来る日は実際に裁判の日です。
2つの抽選を控えていた僕は1つ目の抽選に当たったので、もう1つの裁判の抽選には参加しなくて良いとのことです。いや、絶対これ俺のこと狙ってたでしょ。


初公判、そして判決へ

初めての裁判員の日となり、抽選した場所と同じ裁判所へ赴くのですが、正直ほぼ何も聞かされてないし、そもそも裁判とは縁遠い人生なのでどういうシステムなのか詳しく知りません。
裁判員は6名+補充裁判員が2名という8名体制です。そこに裁判官が2名、裁判長が1名の計11名で起訴された事件についての裁判と審理を行います。
主なフェーズとしては、法廷で検察と弁護士が被告人に対して事実確認などの尋問を行い、それを聞いた後に控え室みたいな部屋で、裁判官と裁判員で審理を行う。これを数回繰り返します。証人が来たりする日もありますし、被告人の言い分や被害者の言い分を聞く日もあります。

[初日裁判] → [2日目裁判] → [3日目裁判] → [x日目裁判] → [審理] → [審理] → [判決]

な感じです。
とりあえず裁判員が何かをしなくちゃいけないって部分に関しては、起訴された事件の審理くらいで、後はまぁぼーっと法廷では座ってるだけでも良いと思います。事件の内容はしっかり把握しておく必要は当然ありますが、そこは検察と弁護士が裁判員向けに分かり易い資料を作ってくれています。検察と弁護士だけの主張の言い争いだけだと公平性が保たれないので、検察と弁護士のそれぞれの証拠に基づいた事実と科すべき罰を裁判官と裁判員が公平な立ち位置から量刑を決めるといった具合です。裁判官も審理の際は色々と補足してくれるし、分からないことがあれば質問すれば教えてくれます(法廷以外の場所で)

何も知らない僕はそんな感じのことを実際に裁判を通じて理解していきました。僕が参加した裁判は刑事事件であまり仲が良くない関係の夫婦の殺人事件でした。被告人が病気を患っていて言葉を話すことが少し困難な状況なのだそうで、普通の裁判より日程と時間が多めに設定されており、普通は5日間ほどで終わるようですが、10日間くらいの日程で組まれていました。

仕事は有給扱いではなく、裁判員として貰える金額+いつもの給与に足りない分を会社が補填するみたいな形でした。一応その10日間以外は仕事してましたし、その月の稼働も120時間はいってたので会社の基本給+裁判員で貰えるお金にして欲しかったんですけど、なんかよく分からない理由とこじつけで会社側からは裁判所から貰った金額からいつもの給与に足りない分しかくれませんでした。今思うと謎ですね。



事件の内容が「殺人」と中々物騒で、裁判が始まる前は話を聞くだけで心が痛くなるような感じでした。事件内容にもよりますが、もっと卑劣で残酷なテレビで大々的に取り上げられた事件も裁判員裁判で行いますし、こればかりは運ですね。逆にこっちがPTSDになってしまうのではないかと思います。裁判員になるのが決まってから殺人事件だとか知ったので、もっと事前に知らせて欲しかったです。
裁判自体は先程にも言ったように、最初はただひたすら法廷で事実確認等の取り調べを被告人や被害者の遺族や証人を交えて検察や弁護士が行い、裁判官側へ提示していくといった形です。

人と人との揉め事である以上、そこに感情というものが存在しているが故、被害者遺族の方が取り乱したりすることもあります。こちらも人間なので同情せざるを得ません。ただ、殺人事件ということもあり、被告人が殺人の事実を認めた以上は争点が絞られ量刑をどうするかという視点で裁判所側は事実をもとに判断していく形になります。難しい事件や被告人がやっていないという主張であれば、裁判自体がまず本当に被告人が殺人をしたのかどうかといった判断をして量刑を決めなければならないので、かなり難しく時間がかかると思われます。僕が参加した裁判は、被告人も事実を認め淡々とことが進んでいきました。

法廷での一通りの事実確認等の取り調べが終わると、裁判官と裁判員は2日ほど使って審理を行います。今まで弁護士や検察や証人、被告人、被害者遺族の方達から聞いた事実や証拠をもとに、量刑を決めます。量刑検索システムなるものがあり、今までの似たようなケースから条件を設定し検索をすると懲役何年くらいが多いのかというおおよその数値がわかります。それを参考に、裁判官と裁判員で審理をして具体的な数値を決めていきます。

ちなみに殺人だと基本的には10年前後で、介護疲れや殺してくれなどと頼まれた場合の情状酌量の余地があるものだと懲役3年以内だったり、執行猶予になったりします。
今回の事件だと、被告人に病気があるが、脳や考える頭は正常であり、殺害理由も身勝手なもので強い殺意があったため、前者のような傾向の量刑となりました。
審理は基本的に裁判官が進行して、裁判で提示された証拠や証言に対して嘘なのか本当なのか、どういった心理状態だったのか等を考慮して1つずつクリアにしていき、最終的な刑の重さを皆で決めます。

片方側だけの声に耳を傾けていると、そちら側ばかりが悲惨な目に遭っているように思えてきてしまって公平な判決が下せなくなるので、いかに両者の意見を俯瞰的に聞き、事件の落とし所を決めるのかが重要です。僕がやった裁判も、被告人がちょっと可哀想みたいな空気が全体的にありましたが、被害者も遺族もそりゃ悲惨な目に遭っているので、そこはあまり考慮できないので、普通に量刑検索システムが出してる平均的な懲役が良いと思うと意見したら、結構みんな同意してくれる人もいましたし、とにかく事件に対してのディベートのような感じですね。ただ、1人だけずっと自分の意見を曲げないみたいな空気超読めないみたいな人は邪魔者になるかもしれません。
事件の大きさ、注目度にもよりますが、初日と判決の日は傍聴席に報道関係者のような人がいくらかいました。裁判長が判決を言い渡し、裁判は終了します。


最後に

異議あり!みたいなことは、1回だけありましたが、検察ではなく弁護士が「異議を申し立てます!!!」と言ってました。
あと検事の人が逆転裁判に出てくる人にめっちゃ髪型が似てました。完全に憧れていたパターンですかね。
服装は自由で派手すぎなければ何でも良いようです。僕は選ばれた日にナイキのロゴがドーンと入ったパーカー着てたんですけど、それでも全く問題ないって裁判長が言ってました。笑

裁判員制度が制定されてちょうど10年目の年に僕が裁判員になったのですが、その10年で積み重ねてきたものもあるのか、わりと裁判員に対して負担のないように心掛けられていて、あまり苦に思うことや不満などはありませんでした。
悪いことをした人を公正な立場から法的な罰を与えるといった、普通の人生では中々味わうことのできないことですが、裁判官と裁判員で話し合いをして刑を決めることは、人生の中でもとても良い経験となったと思いますし、自分が何かやらかしてしまった時は、同じように裁かれるということを肝に銘じて生きていかねばなりません。そういった反面教師的な効果も裁判員制度にはあるのかもしれませんね。

仕事があったり家庭があったりすると思いますが、当然ながら大きな負担を強いることはそこまでなく、休憩も小まめにとってくれるし裁判員として8時間以上は稼働することはないですし、日にちも多くて10日ほどで終わるのでみなさんももし選考される機会がありましたら辞退せずに挑戦してみてはいかがでしょうか。気楽なものではありませんが、やる価値は大いにあると思います。
一度選ばれた人は10年先は選ばれることはないらしいです。

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