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免許
宅地建物取引業者Aは、甲県の区域内に本店を。乙県の区域内に支店を設置し、本店においては宅地建物取引業を、支店においては建設業のみをそれぞれ営もうとする場合、Aは国土交通大臣の免許を受けることはできない
⇒ 支店は事務所に該当しないので甲県知事の免許を受けなくてはならいため国土交通大臣の免許を受けることはできない。
Aは帳簿を事務所ごとに設置しなればならないが、取引の関係者から閲覧の請求があったときでも当該帳簿を閲覧させる義務はない
⇒ 正当な理由もないのに帳簿を閲覧させると守秘義務に違反する。従業者名簿は閲覧させる義務があり、守秘義務も通用しない。
Aの従業者Bが分譲マンションの販売の勧誘に際し、Aの名称及び分譲マンションの販売の勧誘目的を告げるだけではなく、勧誘を行うBの氏名も告げなければ勧誘を行ってはならない。
⇒ 宅建業者やその従業者等は、宅建業に係る契約の締結の勧誘に先立って
①宅建業者の商号又は名称
②勧誘を行う者の氏名
③契約の締結について勧誘をする目的である旨
を告げずに勧誘を行ってはならない
Aは、宅地の販売をする場合、宅地建物取引業法第35条に定める書面には、代金の支払いの方法について必ず記載しなければならない → ×
⇒ 宅建業者が宅地の販売をしようとする場合は、35条書面に法定事項を記載して契約が成立する前に買主に交付しなければならない。代金の額や支払時期および支払方法は、35条書面に記載する必要はない。37条書面においては絶対的記載事項である。
免許の要否等
宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち正しいものはどれか
Aが都市計画法に規定する田園住居地域内の自己所有の農地を30区画に区画割りをし、宅地建物取引業者に一括してその販売の代理を依頼して不特定かつ多数の家庭菜園の購入希望者に反復継続して売却する場合、Aは免許を受ける必要はない → ×
⇒ 「都市計画法に規定する田園住居地域」は用途地域である。宅建業法上、用途地域内の土地は、現に道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供されている土地を除き、「宅地」である。よってAが家庭菜園用として販売する場合でも「宅地」である。
また、Aが宅建業者を代理人として宅地を販売する場合でも、Aは宅地の売主であり、不特定かつ多数の者に反復継続して売却する場合は、宅地の売却を業として行うのであるから、Aは免許を受ける必要がある。
B社(甲県知事免許)が親会社C社(国土交通大臣免許)に吸収合併された場合において、B社の事務所をそのままC社が宅地建物取引業を営む事務所として使用するときは、C社が事務所新設の変更の届出をすれば、B社は甲県知事に廃業等の届出をする必要はない → ×
⇒ 宅建業者B社が、C社に吸収合併されることにより、B社は存在しなくなり、B社の免許は失効する。よって、消滅会社B社の事務所を存続会社C社が宅建業を営む事務所として使用するか否かにかかわらず、消滅会社B社を代表する役員だった者は、消滅会社B社の免許権者である甲県知事に、廃業等の届出をしなければならない。
農地所有者が、その農地を宅地に転用して不特定かつ多数の者に売却しようとするときに、その販売の代理の依頼を受ける農業協同組合は、これを業として営む場合であっても、免許を必要としない。 → ×
⇒ 本肢の農業協同組合は、宅地の売却の代理を業として行うのであるから、宅建業の免許を受けなければならない。この点、農業協同組合は、国または地方公共団体またはそれらとみなされる者(「都市再生機構」等は国とみなされ、「地方住宅供給公社」等は地方公共団体とみなされる)ではないので、免許を受ける必要がある。
破産管財人Dが、破産財団の換価のために自ら売主となって、破産者が所有していた宅地または建物をそのままの状態で不特定かつ多数の者に売却する行為を反復継続して行う場合、Dは免許を受ける必要はない。
⇒ 破産管財人は、裁判所の監督の下、破産者が所有していた宅地建物を順次売却し、換価した宅地建物を債権者への配当に充てるのであり、宅建業を営むことには該当しない。よって、破産管財人Dは、宅建業の免許を受ける必要はない。
※破産管財人は、通常は破産者及び主要な破産債権者と利害関係のない弁護士が選任される。
免許基準等
宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
A社の顧問が、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員であり、かつ、当該顧問が取締役よりもA社に対する支配力が大きい場合、A社は免許を受けることができない。→ ○
⇒ A社が免許を受けるためには、A社のみならず、Aの役員及び政令で定める使用人が免許欠格者でないことが必要である。そして、ここにいう「役員」には、取締役はもちろん、A社に対して取締役等と同等以上の支配力を有する者も含まれるので、本肢の「顧問」は「役員」に該当する。そして役員が「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員」である場合、役員は免許欠格者であり、A社は免許を受けることができない。
B社が不正手段により宅地建物取引業の免許を取得し、その免許を取り消された場合、その聴聞の期日および場所の公示の日の30日前にB社の取締役を退任した者は、B社の免許取消の日から5年間、免許欠格者となるが、当該取締役と同時にB社の宅地建物取引業を営む支店の支店長(役員ではない)を退職した者は、免許欠格者とはならない。 → ○
⇒ B社が不正手段により免許を取得したことを理由に免許を取り消されると、B社のみならず。B社の免許取消処分の聴聞の公示日前60日以内にB社の役員であった者もB社の免許取消日から5年間、B社とともに、免許欠格者となる。
しかし、B社の政令で定める使用人であった者(政令使用人)は、B社とともに免許欠格者となることはない。なお、政令使用人とは、宅建業者の使用人で、宅建業法に定める事務所の代表者のことであり、本肢の宅建業を営む支店の支店長は、政令使用人に該当する。
宅地建物取引業者C社の役員が刑法第247条(背任)の罪により、罰金の刑に処せられた場合、C社の免許は取り消され、C社の宅地建物取引業を営む支店の支店長(役員ではない者)であって政令で定める使用人が刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合も、C社の免許は取り消される。 → ○
⇒ C社が宅建業の免許を受けた後に、C社の役員または政令使用人が免許欠格者に該当すると、C社の免許は取り消される。そして、罰金刑に処せられると免許欠格者となる犯罪の種類は、一定の犯罪に限定されていてるが、背任罪も傷害罪もその一定の犯罪に該当する。したがって、役員が背任罪により罰金刑に処せられた場合も、政令使用人が傷害罪により罰金刑に処せられた場合も、C社の免許は取り消される。
宅地建物取引業者D社が経営破綻し、会社更生手続開始の決定を受けた場合、D社の免許は取り消される。 → ×
⇒ D社が経営破綻し、破産手続開始の決定を受けたら、D社の免許は取り消される。しかし、会社更生法の下、会社更生手続開始の決定を受けたら、会社は、裁判所の関与の下で、会社としての再生を図っていくことになるので、免許が取り消されることはない。
なお、同様に、民事再生法の下、民事再生手続開始の決定を受けた場合も、免許が取り消されることはない。
宅建士複合
宅地建物取引士Aが、甲県知事の宅地建物取引士資格登録および宅地建物取引士証の交付を受けている場合に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
(ア) Aは、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない → ○
⇒ 宅建士は、宅地建物の取引に係る事務に必要な知識や能力の維持向上に努めなければならない。(宅建業法15条の3)
(イ) Aは、その住所を変更した場合、遅滞なく甲県知事に変更の登録を申請するとともに、あわせて宅地建物取引士証の書き換え交付の申請をしなければならない → ○
⇒ 宅建士は、氏名又は住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請をするとともに、あわせて宅建士証の書き換え交付の申請をしなければならない。
(ウ) Aが禁錮以上の刑に処せられたことにより甲県知事から登録の消除処分を受けた場合、Aはその処分の日から5年を経過すれば登録を受けることができる → ×
⇒ その刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しなければ再度登録を受けることができない。処分の日から5年ではなく、刑の執行が終わった日から5年が正しい。※執行猶予の場合は執行猶予期間が終わった瞬間からすぐに免許が受けられる。
宅建業者・宅建士の比較
宅地建物取引業者の免許の有効期間が満了し、免許がその効力を失ったときは、免許証を返納する必要はなく、宅地建物取引士の宅地建物取引士証の有効期間が満了し、宅地建物取引士証が効力を失った場合も、宅地建物取引士証を返納する必要はない → ×
⇒ 宅建業者が免許の有効期間満了することで免許が失効した場合は、免許証を返納する義務はない。
宅建業者が免許証の返納義務を負うのは以下の場合。
①免許換えにより免許の効力がなくなったとき
②監督処分として免許を取り消されたとき
③亡失した免許証を発見したとき
④廃業等の届出をするとき
これに対し宅建士が宅建士証の返納義務が求められるのは以下。
①宅建士の資格が消除されたとき
②宅建士証が効力を失ったとき
よって宅建士証の有効期間5年を経過して効力を失った場合は上記の②に該当し、宅建士証を返納しなければならない
宅地建物取引業者の免許証には、主たる事務所の所在地が記載され、宅地建物取引士の宅地建物取引士証には、当該宅地建物取引士の住所が記載される
⇒ 宅建業者の免許証には主たる事務所の所在地が記載される。宅建士の宅建士証には宅建士の住所が記載される
※宅建士証を重説の際に提示する時は個人情報保護の観点で住所蘭にシールを貼っても問題ない
宅地建物取引業者が業務停止処分を受けたときは、その旨が公告されるが、宅地建物取引士が事務禁止処分を受けたときは、その旨が公告されることはない。
⇒ 国土交通大臣または都道府県知事が、宅建業者に対して業務停止処分や免許取消処分(指示処分は除く)をした場合は、その旨を公告しなければならない
これに対し宅建士に対する監督処分(指示処分・事務禁止処分・登録消除処分)をした場合の公告制度はない
宅地建物取引業者が免許証を亡失したときは、免許証の再交付申請をしなければならず、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を亡失したときは、宅地建物取引士証の再交付申請をすることができる
⇒ 宅建業者は滅失・汚損・破損した場合は遅滞なくその免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に再交付申請をしなければならない。
これに対して宅建士は上記と同じ理由等で亡失した場合でも、再交付申請の義務はなく、再交付したい場合は交付を受けた免許権者に申請すればよい。
業務上の規制
宅地建物取引業者Aに関する次の記述のうち正しいものはどれか
Aが宅地の所有者Bと売買の専属専任媒介契約を締結した場合、Bに対する当該媒介業務の処理状況の報告は、書面により行わなければならず、これを電子メールにより行うことはできない。 → ×
⇒ 宅建業者は宅地建物の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、依頼者に対し1週間に1回以上、業務処理状況を報告しなければならない。報告の方法については宅建業法上の規制はなく、電子メールで行うことも認められる。なお、国土交通省の「標準媒介契約約款」を用いる場合、業務処理状況の報告の方法は、文書か電子メールのいずれかを選択することになっている。
Aは建物の売買の媒介を行う場合、買主(宅建業者ではない)に対する法第35条の規定に基づく重要事項の説明にテレビ会議等のITを活用することができるが、その場合、法第35条に基づく書面については、相手方の承諾を得て、電磁的方法により交付することが必要であり、当該書面を書面で事前に送付しておくことはできない。 → ×
⇒ テレビ会議等のITを利用して重要事項説明を行うこと(いわゆるIT重説)は、すべての宅建業の取引について可能である。そして重要事項の説明をする際は、宅建士の記名のある35条書面を交付するか、相手方の承諾を得て、宅建士を明示して書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する必要がある。なお、IT重説を行う際においても、35条書面を電磁的方法により提供することも可能であるが、重要事項説明書をIT重説を受けようとする者にあらかじめ送付しておく方法によることも可能である。
・普通の重説 → 交付 or 承諾得て電磁的方法による交付
・IT重説 → あらかじめ交付 or 承諾得て電磁的方法による交付
直接交付でも電磁的方法による交付でも宅建士の記名は必要。
Aはその事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、当該名簿をその者の閲覧に供しなければならないが、当該名簿を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる。
⇒ 宅建業者は事務所ごとに従業者名簿を備えて、取引の関係者から請求があった場合は従業者名簿を閲覧に供する義務がある(守秘義務は適用されない)。この閲覧は事務所のパソコンのハードディスクに記録したものを紙面またはパソコンの画面に表示する方法で行ってもよい。
帳簿も事務所ごとに備えるが、取引の関係者から請求があっても閲覧に供する義務はない(守秘義務)
Aはその事務所ごとにその業務に関する帳簿を備えなければならないが、当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所のおいてパソコンやプリンターを用いて紙面に印刷することが可能な環境を整えていたとしても、当該帳簿への記載に代えることができない。 → ×
⇒ 宅建業者は事務所ごとに業務に関する帳簿を備えなければならない。その帳簿は紙への記載以外に、法定記載事項をパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて明確に紙面に印刷することが可能な環境を整えれば、パソコンのハードディスクへの記録を帳簿への記載に代えることができる。
営業保証金
営業保証金は、金銭のほか、国債証券、地方債証券、その他国土交通省令で定める有価証券でも供託できるが、有価証券はその種類に応じて、額面金額の100分の90または100分の80のいずれかの価額に評価される → ×
⇒ 有価証券はその種類に応じて国際証券は額面金額で、地方債証券および政府保証債証券は額面金額の100分の90、その他の有価証券は額面金額の100分の80の価額に評価される。
よって有価証券とひとくちに言っても国際証券は額面金額で評価されるので誤り
営業保証金の還付がなされたときは、宅地建物取引業者は。その不足額を供託しなければならないが、その供託は還付がなされれば、その旨の通知がなくても行わなければならない → ×
⇒ 営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することになった場合、宅建業者は免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
よって、還付がなされたときに通知がなくても供託しなければならないわけではない。
Aが新たに甲県内に宅地建物取引業を営む支店bを設置したが、同時に従来の支店aを廃止したため、事務所数に変更を生じない場合、Ah新たに営業保証金を供託する必要はない。
⇒ 本店を移転するわけではなく、支店数にも変更が生じないため新たに営業保証金を供託する必要はない。
本店が移転する場合は主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
Aは免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため、Aとの宅地楯も取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは、2週間以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。 → ×
⇒ 免許が有効期間の満了により失効した場合、宅建業者であった者は供託していた営業保証金を取り戻すことができる。この場合、免許が失効してから10年の経過を待たずして営業保証金を取り戻すためには還付権者に対し6か月以上の期間を定めて、その期間内に宅建業者の免許権者に申し出るべき旨を官報で公告し、その期間内に還付請求権者申し出がないことが必要。
そして宅建業者であった者が、取り戻しのための公告をしたときは、“遅滞なく”その旨を免許権者に届け出なければならない。「2週間以内に」届け出なければならないとする本肢は誤り。
媒介契約
宅建業者Aが、Bから自己所有の建物の売却の媒介を依頼され媒介契約を締結した場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば正しいものはいくつあるか。
一般媒介契約を締結した場合において、売却の依頼を受けた建物が既存の住宅であったことから、Aは、Bに対し、法第34条の2第1項4号に規定する建物状況調査の制度を紹介した。この場合に、Bが同調査を実施する者のあっせんを希望しなかったときは、Aは、法第34条の2第1項に基づく書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない → ×
⇒ 既存建物の売却の一般媒介契約を締結した場合においても、宅建業者は、媒介契約書面に、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無を記載しなければならい。あっせんの有無なので、依頼者があっせんを希望しなかったときは、媒介契約書面には、あっせんは「無」と記載しなければならない。
※標準媒介契約約款を用いる場合に、あっせんをしない場合は、その理由も記載する必要がある
専任媒介契約を締結した場合、Aは、建物を売買すべき価格について意見を述べるときは、その根拠を法第34条の2第1項の規定の基づきBに交付すべき書面に記載しなければならない。 → ×
⇒ 依頼者に価格について意見を述べるときには、その根拠を示さなければならない。もっとも、その根拠を媒介契約書面に記載する必要はない。
一般媒介契約をした締結した場合、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づきBに交付すべき書面に、指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない。 → ×
⇒ 一般媒介契約は、指定流通機構への登録義務はないが、媒介契約書面には、指定流通機構への登録に関する事項を記載しなければならない。
法第34条第1項の規定に基づき、Bに交付する書面には、Aは、記名をしなければならないが、押印は省略することができる。 → ×
⇒ 売買・交換の媒介契約を締結した場合の媒介契約書面には、宅建業者の記名及び押印が必要である。35条書面や37条書面への宅建士の押印は廃止され、宅建士の記名のみでよくなったが、媒介契約書面には宅建業者の記名および押印が必要である。
重要事項の説明
宅地建物取引業者Aが行う宅地建物取引業法35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか
宅地建物取引業者Aは1棟のマンション(20戸)を競売により取得し自ら借主を募集して宅地建物取引業者ではない者と賃貸借契約を締結しようとする場合、宅地建物取引士による説明を行う必要はなく、35条の規定に基づく書面を交付する必要もない
⇒ 自ら借主を募集というのは言い換えれば自ら貸借と同義。賃貸で直接契約する際は宅建業にあたらないため、35条書面とかは不要。
重要事項説明の際に宅建士は説明の相手方から請求がなくても宅建証を提示しなければならない。この提示を怠ると当該宅建士は10万円以下の過料に処せられることがある。
⇒ 宅建業者Aが過料に処せられることはない。
Aが自ら売主となるマンションが工事完了後数年経過したものである場合、完了時における形状、構造、その他国土交通省令で定める事項については説明する必要はない。
⇒ 工事完了前の未完成物件の場合は、完了時における形状、構造、その他国土交通省で定める事項(主要構造部、内装・外装・構造・仕上げ並びに設備の設置及び構造)を重要事項として説明する必要がある。
35条書面
代金の額・支払い時期・方法は記載事項ではない(37条書面には必要)
手付金を授受する場合は金額がいくらであろうが記載しなくてはならない
50万円以上の預り金を授受する場合の預り金の保全措置の概要を記載しなければならない。(50万円未満は不要)
租税・その他の公課の負担に関する事項は記載する必要はない(37条書面には必要)
37条書面
宅地建物取引業者A社が自ら売主となる建物の売買契約が成立した場合、宅地建物取引業法第37条の規定により、買主に対して交付すべき書面に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
Aは買主が建物の代金について金融機関から住宅ローンの承認が受けられなかったときは、無条件で契約を解除できる旨の定めをした場合でも、Aが融資のあっせんをするのでなければ、かかる定めの内容を37条書面に記載する必要はない。 → ×
⇒ 宅建業者は代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合については、当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置を37条書面に記載しなければならないが、あっせんに関する定めがないときには記載は不要である。もっとも、Aは買主が住宅ローンの承認が得られなかった場合には、無条件で契約を解除できる旨の定めをしているのであり、これは「契約の解除に関する定めがあるときは、その内容」に該当し、かかる定めの内容を37条書面に記載しなければならない。
Aは中古の建物を自ら売主として売却するに際し、当該建物が種類又は品質に関して契約内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(契約不適合責任)について、「買主は、契約不適合責任を追及するためには、引渡しの日から2年以内に当該不適合をAに通知しなければならない」旨の定め(通知に関する定め)をしたが、契約不適合責任の履行に関しては保証保険契約の締結その他の措置についての定めをしなかった場合、Aは、通知に関する定めについてのみ、37条書面に記載しなければならない。
⇒ 宅建業者は、当該宅地もしくは建物が種類もしくは品質に関して、契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(契約不適合責任)についての定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。したがって、契約不適合責任を追及するための買主の通知は、建物の引渡しを受けた日から2年以内にしなければならない旨の定めの内容について、37条書面に記載しなければならない。
また、宅建業者は、当該宅地または建物に関する契約不適合責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。
本肢では、契約不適合責任の履行に関して措置を講じる定めはないので、こちらについては37条書面に記載する必要はない。よって、本肢では、前者の契約不適合責任に関する定め(通知に関する定め)の内容のみ、37条書面に記載すればよい。
37条書面には、宅地建物取引士が記名をする必要があるが、記名をするのは成年者である専任の宅地建物取引士である必要はない。
⇒ 宅建業者は、37条書面を作成したときは、宅建士をして37条書面に「記名」をさせなければならない。そして37条書面に記名するのは、宅建士であればよく、成年者である専任の宅建士である必要はない。
Aは当該契約を締結する時に建物の完成時期が確定していない場合においても、37条書面には、建物の引渡しの時期を記載しなければならない。
⇒ 37条書面の記載事項である「宅地または建物の引渡しの時期」は、絶対的記載事項であり、37条書面には、建物の引渡しの時期を必ず記載しなければならない。
監督処分
国土交通大臣は、免許を受けた宅建業者Aに対し、宅建業の適正な運営を確保するため必要な指導を行おうとするときは内閣総理大臣に協議しなければならない →×
⇒ 国土交通大臣は、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者に対して、消費者の利益保護に関わる規定に違反したことを理由に、監督処分(指示処分・業務停止処分・免許取消処分)を行おうとする場合、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならない。
指導・助言・勧告という監督処分以外の行為においては内閣総理大臣と協議する必要ない
甲県知事はその免許を受けた宅建業者Bの事務所の所在地を確認できないときは、その旨を公告し、当該公告の日から30日以内にBから申出がない場合、甲県知事は公開の聴聞を行うことなく、Bの免許を取り消すことができる。
⇒ 免許権者である国土交通大臣または都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者の事務所の所在地を確知できないときは、官報または当該都道府県の広報でその事実を公告し、公告の日から30日を経過してもその宅建業者から申出がないときは、宅建業者の免許を取り消すことが可能。この場合の免許取消処分は聴聞不要。
宅建業者Cは、マンション管理業に関し不正または著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合Cは甲県知事から法に基づく指示処分または業務停止処分を受けることはない (※法 = 宅地建物取引業法)
⇒ 宅建業の業務に関して他の法令に違反した場合は指示処分また業務停止処分の監督処分を受けることがあるが、マンションの管理の適正化については宅建業の業務ではなく、宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした場合にも該当しないので、Cが業務停止処分を受けたとしても、宅建業法に基づく指示処分及び業務停止処分は受けることはない。
宅地建物取引士Dが宅地建物取引業法に違反して罰金の刑に処せられたときは、1年以内の期間を定めて、宅地建物取引士としてすべき事務の禁止の処分を受けることがある。 → ×
⇒ 宅建士が宅建業法に違反して罰金刑に処せられることは、登録の欠格要件に該当し、都道府県知事はその登録を受けている宅建士の登録を消除しなければならない。事務禁止処分を受けることはなく、より重い登録消除処分を受ける。
8種規制複合①
宅地建物取引業者Aが自ら売主として行う宅地(代金5000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば誤っているものはどれか。
Aは、宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結し、解約手付と定めることなく、損害賠償額の予定としての手付と定めて1000万円の手付金を受領した場合、別途、債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を1000万円とする旨の定めをすることはできない
⇒ 8種規制の適用場面(売主が宅建業者、買主が宅建業者ではない)において、買主が売主に手付を支払ったときは、「その手付がいかなる性質のものであっても、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、宅建業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除ができる(解約手付)。
8種規制の適用場面においては、債務不履行による契約の解除に伴う損害賠償額の予定および違約金は、合算して代金額の20%まで(代金5000万円の20%の1000万円まで)に制限される。違約手付として1000万円が合意されているのであるから、これで代金額20%となっているのに、さらに債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を1000万円とする定めをすると合算して20%を超える。よって別途、債務不履行による契約解除に伴う契約解除に伴う損害賠償の予定額を1000万円とする定めをすることはできない。
Aは宅地建物取引業者ではない買主Cとの間で宅地造成工事完了後に売買契約を締結し、500万円の手付金を受領し、宅地の引渡しを中間金1000万円の支払いと同時とした場合、Aは保全措置を講ずる必要はない。
⇒ 8種規制の適用場面における手付金等の保全措置にいう「手付金等」とは、
①契約締結の日以後、引き渡し前までに支払われる金銭で、かつ
②代金に充当されるもの
をいう。本肢においては、宅地の引渡しを中間金の支払いと同時に行うのであるから、「中間金」およびその後に授受する「残代金」は、上記①の「引渡し前まで」の要件を欠き、手付金等には該当しない。
これに対し「手付金」は「手付金等」に該当するが、完成物件は受領する額が1000万円以下かつ代金額の10%以下であれば、手付金等に該当しても、保全措置を講ずる必要はない。
よって500万円の手付金についても、Aは保全措置を講ずる必要はない。
Aは宅地建物取引業者ではない買主Dとの間で宅地造成工事完了後に割賦販売の契約を締結し、手付金1000万円の受領と同時に宅地の引き渡しをした場合、手付金を受領した段階において、宅地の所有権の登記をA名義のままにしておくことはできない → ×
⇒ 8種規制の適用場面において、割賦販売を行った自ら売主である宅建業者は、目的物を買主に引き渡すまでに、登記などの売り主の義務を履行しなければならないのが原則であるが、例外として、宅建業者が受領した額が代金額の30%以下である場合は、登記などの売主の義務の履行を留保することができる。
本肢の代金5000万円の宅地の売買においては、手付金1000万円を受領しても代金額の20%であるため、引き渡しを終えた宅地についての登記をA名義のままにしておくことができる。
Aは、宅地建物取引業者である買主Eと間で宅地造成工事完了前に売買契約を締結し、宅地の引渡しおよび登記の移転を残代金の支払いと同時とした場合、Aは手付金1000万円を受領する前に、保全措置を講ずる必要はない。
⇒ 宅建業者間の取引には8種規制の適用はないので、Aは手付金等の保全措置を講ずる必要はない。買主が宅建業者であるか否かはきちんとチェック!
8種規制複合②
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となってその所有する宅地の売買契約を買主との間で締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法および民法の規定によれば、正しいものはどれか。
宅地の代金が3000万円であった場合、宅地建物取引業者ではない買主BがAに対して債務不履行に伴う損害賠償を請求するときは、その額は600万円までに限られる。 → ×
⇒ 8種規制の適用場面(売主が宅建業者で買主が宅建業者ではない場合)において、当事者が債務不履行に伴う損害賠償の額を予定するときは、代金額の20%までに制限される。しかし、損害賠償額の予定がなされなかったときにおて、その損害賠償額が代金額の20%までに制限されることはない。予定という単語がなかったらそう考えてよい感じ
当該宅地が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(契約不適合責任)について、「宅地建物取引業者ではない買主Cは、宅地の引渡しの日から1年以内にAに契約不適合について通知しなければならない」旨の特約をした場合、その特約は無効であり、CがAに対して契約不適合責任を追及するには、Cは、宅地の引渡しの日から2年以内にAに契約不適合について通知しなければならない。 → ×
⇒ 8種規制の適用場面において、その種類または品質に関する契約不適合責任について、民法の規定よりも買主に不利となる特約は、契約不適合責任を追及する前提として買主が売主にその不適合を通知すべき期間を「引き渡しの日から2年以上」とする特約を除き、無効となる(40条)。よって、「引き渡しの日から1年以内」に通知を要する特約は、無効となり、民法が適用され、買主が契約不適合を知った日から1年以内にそれを売主に通知しなければ、契約不適合責任を追及できないことになる(民法566条)。この点、「引き渡しの日から2年以内」に通知しなければならないことになる、と勘違いする受験生が多いので注意すること。
宅地の代金が5000万円であった場合、宅地建物取引業者である買主Dと損害賠償額の予定として500万円、これとは別に違約金として1000万円を支払う旨の定めをすると、1000万円を超える部分は無効となる。 → ×
⇒ 宅建業者間の取引には、宅建業法の8種規制の適用はない。よって8種規制の1つである損害賠償額の予定等の制限も適用がなく、損害賠償額の予定と違約金を合算して代金額の20%を超える定めも、無効とはならない。
宅地の代金が6000万円であった場合、宅地建物取引業者ではない買主Eが手付金600万円を支払った後、Aが履行に着手していなければ、Eは中間金1000万円を支払っていても手付金600万円を放棄して契約を解除し、中間金1000万円の返還を請求できる。
⇒ 8種規制の適用場面において、手付は解約手付としての性質が認められる。そして、解約手付が交付されている場合、自らが履行に着手しても、相手方が履行に着手していなければ、なお手付解除は認められる。したがって、Eが中間金の支払いという履行の着手をしていても、相手方Aが履行に着手していなければ、Eは、支払った手付金600万円を放棄して契約を解除し、支払った中間金1000万円は、Aに対して返還を請求できる。
クーリングオフ
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBと建物の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリングオフに関する次の記述のうち正しいものはどれか
Bが、現に分譲する建物のうちの一つに設置されたモデルルーム内で買受けの申し込み及び売買契約を締結した場合、Aが当該モデルルームについて届出をしていないときは、Bはクーリングオフによる売買契約の解除をすることができる → ×
⇒ 宅建業者が一段の建物の分譲のため、分譲する建物のうちの一つに売買契約を締結しまたは申込みを受けるモデルルームを設置し、そこで買主が買受けの申し込みをする場合、そのモデルルーム(土地に定着した案内所とみなされる)はクーリングオフができない場所に該当する。案内所等の届出の有無は関係がない。
①成年者である専任の宅建士の設置義務があり、かつ
②土地に定着した案内所等は、クーリングオフ制度の適用がない
当該場所で買受けの申し込みおよび売買契約を締結したBは契約を解除できない。
AがBに対してクーリングオフについて告げる書面には、Aの商号または名称および免許証の番号を記載すれば、Aの住所は記載する必要はない。 → ×
⇒ Aがクーリングオフについて書面を交付して告げるときは、当該書面には、売主であるAの「商号または名称および住所並びに免許証番号」等の記載をする必要がある。買主Bがクーリングオフするときは書面で行わなければならず、その書面は内容証明郵便を利用することがほとんであるから、Aから交付を受ける書面にAの住所がなければ、それを調べる面倒が生じてしまうからである。
Bがクーリングオフによる契約の解除をしようとするときは、当該解除の意思表示を電子メール等の電磁的方法により行うことができ、その効力は電磁的方法を発した時に生ずる。 → ×
⇒ 買主がクーリングオフしようとするときは、その旨を書面で行わなければならず、その効力は書面を発した時に生ずる。クーリングオフをする旨の意思表示を電子メール等の電磁的方法で行うことはできない。クーリングオフは宅建業者がクーリングオフできる旨およびその方法を告げるのも「書面」で行う必要があり、買主がクーリングオフをするのも「書面」で行う必要がある。
Aが売買契約の履行に着手した後においても、Bは、クーリングオフによる売買契約の解除をすることができる。
⇒ クーリングオフの規定による契約の解除等ができなくなるのは、買主が建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときである。
売主Aが売買契約の履行に着手した後においても、買主Bが引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払わない限り、Bはクーリングオフによる契約の解除をすることができる。(解除手付による売買契約の解除ができなくなる時期(相手方が履行に着手するまで)と混同しないこと。)
★クーリングオフできる場合
①冷静な判断が可能な場所以外で買受けの申込み・売買契約
②履行の終了がしてない(引渡しかつ代金全部支払い済み)
③8日間の経過してない(書面で告げられてから)
以上の3つすべて○でクーリングオフ可能
広告に関する規制
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法によれば、誤ってるものはどれか
Aが乙県に所在する宅地を分譲するにあたり、その販売広告において宅地の将来の環境について著しく事実に相違する表示をした場合、乙県知事は、Aに対して必要な指示をすることができ、実際に広告に関する事務を行ったのが宅地建物取引士であるときは、当該宅地建物取引士に対しても必要な指示をすることができる。 → ×
⇒ 宅建業者が誇大広告の禁止規定に違反した場合、業務地を管轄する知事(乙県知事)は、宅建業者に対して指示処分をすることができる。しかし、広告をすることは、宅建士の法定事務ではなく、当該広告を行ったのが宅建士であったとしても、宅建士として行う事務に関し不正または著しく不当な行為をしたわけではないので、宅建士に対して指示処分をすることはできない。
Aが甲県知事からその業務の全部の停止を命ぜられた期間中は、当該停止処分が行われる前に印刷した広告の配布活動であっても、行うことはできない。
⇒ 宅地建物の取引に関する広告の配布活動も「業務」であり、甲県知事からその業務の全部の停止を命ぜられた場合には、それが業務停止処分前に印刷した広告であっても、当該業務停止処分の期間中は配布できない。
Aが宅地の売主の依頼を受けて、売買の媒介に関する広告を行う場合、広告に媒介である旨の表示はしなければならないが、売主の名称を表示する必要はない。
⇒ 宅建業者は、宅地の売買に関する広告をするときは、取引態様の別を明示しなければならないので、本肢の場合、媒介である旨の表示はしなければならないが、売主の名称は表示する必要はない。
Aがマンションを建設し、貸主としてその賃貸借をするにあたり、建築確認を申請していた場合、当該建築確認を受ける前でも、「賃貸者の契約は、建築確認を受けた後に締結する」旨を明示して、広告することができる。
⇒ 宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前は、当該工事に関して必要とされる建築確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、宅建業の「取引」に関する広告をすることはできない。本肢において、宅建業者Aの行為は賃貸マンションの自ら貸借であり、自ら貸借は宅建業の「取引」ではないので、「賃貸者の契約は、建築確認を受けた後に締結する」旨を広告に明示する・しないに関わらず、建物の自ら貸借の広告をすることができる。
報酬規制
宅地建物取引業者Aが、B所有の宅地について、売主Bから売却の代理の依頼を受け、又は売主B及び買主Cから売買の媒介の依頼を受けて売買契約を成立させた場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか
宅地の代金の額が300万円である場合、現地調査等の費用が通常の売買の代理に比べ4万円多く要する場合、その旨をBに説明し合意したときに、AがBから受領できる報酬の上限額は、Bから媒介の依頼を受けた場合の2倍に相当する36万円となる。 → ×
⇒ 低廉な空家等の報酬の特例は、空家でない建物や宅地も含むので、本肢の「代金の額が300万円に宅地」にも適用される。そして特例を適用するときは、例えば売買の媒介の場合であれば以下の点に留意を要する。
①依頼者である空家等の売主から受領する報酬に限定
②特例について依頼者(売主)に説明し合意すること
③受領できる報酬の上限は、通常の報酬額の上限(代理であれば基準額の2倍)に、通常の売買等と比べ、特に多く要する現地調査等に要する費用を加えた額であり、かつ基準額に特に多く要する現地調査等に要する費用を加えた額が18万円以内(消費税等を含めれば19万8000円以内)でなければならい
すると、本肢では300万円の宅地であるから、代理の依頼者である売主Bから受領する報酬の上限額は、300万円×4%+2万円=14万円(基準額)に通常の代理と比較して4万円多く要する現地調査等の費用を加えると、18万円(限度額いっぱい)となり、さらに基準額14万円を加えた32万円が受領できる報酬額の上限となる。これを単純に低廉な空家等の売買の媒介の上限額18万円を2倍にした36万円とする本肢は誤り
宅地の代金が1100万円である場合、Aが媒介の依頼を受けたBから受け取ることのできる報酬の上限額は36万円である → ×
⇒ 宅地の代金には消費税が課税されないので、代金1100万円から消費税分を抜いて計算する必要はない。よって、宅地の売買の媒介の依頼を受けたAは、1100万円×3%+6万円=39万円を上限に、媒介の依頼者の一方であるBから報酬を受領できる
Aが宅地の売買の媒介をするにあたり、特にBから依頼されて特別の広告を行った場合、仮に当該売買契約が不成立に終わったときでも、Aは広告料金に相当する額をBから受領することができる → ○
⇒ 媒介・代理をするにあたり、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額(実費)は、報酬とは別に、また仮に売買契約が不成立に終わっても依頼者から受領することができる。
宅地の代金が2000万円である場合、Aは、B及びCの双方から媒介の依頼を受けたときは、双方から受領する報酬額が合計で132万円を超えない限り、B及びCからどのような割合で報酬を受領してもよい → ×
⇒ 代金2000万円の宅地の売買の媒介をした場合、Aは依頼者の一方から、2000万円×3%+6万円=66万円(基準額)を上限に報酬を受領することができる。そして本肢における売買の媒介の依頼者は、売主B及び買主Cの双方であるから、Bから66万円。Cから66万円を上限に報酬が受領できる。合計が132万円を超えてはならないが、それに加え、依頼者の一方であるB又はCから受領する報酬額は66万円を超えてはならない