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免許
宅地建物取引業者Aは、甲県の区域内に本店を。乙県の区域内に支店を設置し、本店においては宅地建物取引業を、支店においては建設業のみをそれぞれ営もうとする場合、Aは国土交通大臣の免許を受けることはできない
⇒ 支店は事務所に該当しないので甲県知事の免許を受けなくてはならいため国土交通大臣の免許を受けることはできない。
Aは帳簿を事務所ごとに設置しなればならないが、取引の関係者から閲覧の請求があったときでも当該帳簿を閲覧させる義務はない
⇒ 正当な理由もないのに帳簿を閲覧させると守秘義務に違反する。従業者名簿は閲覧させる義務があり、守秘義務も通用しない。
Aの従業者Bが分譲マンションの販売の勧誘に際し、Aの名称及び分譲マンションの販売の勧誘目的を告げるだけではなく、勧誘を行うBの氏名も告げなければ勧誘を行ってはならない。
⇒ 宅建業者やその従業者等は、宅建業に係る契約の締結の勧誘に先立って
①宅建業者の商号又は名称
②勧誘を行う者の氏名
③契約の締結について勧誘をする目的である旨
を告げずに勧誘を行ってはならない
Aは、宅地の販売をする場合、宅地建物取引業法第35条に定める書面には、代金の支払いの方法について必ず記載しなければならない → ×
⇒ 宅建業者が宅地の販売をしようとする場合は、35条書面に法定事項を記載して契約が成立する前に買主に交付しなければならない。代金の額や支払時期および支払方法は、35条書面に記載する必要はない。37条書面においては絶対的記載事項である。
宅建士複合
宅地建物取引士Aが、甲県知事の宅地建物取引士資格登録および宅地建物取引士証の交付を受けている場合に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
(ア) Aは、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない → ○
⇒ 宅建士は、宅地建物の取引に係る事務に必要な知識や能力の維持向上に努めなければならない。(宅建業法15条の3)
(イ) Aは、その住所を変更した場合、遅滞なく甲県知事に変更の登録を申請するとともに、あわせて宅地建物取引士証の書き換え交付の申請をしなければならない → ○
⇒ 宅建士は、氏名又は住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請をするとともに、あわせて宅建士証の書き換え交付の申請をしなければならない。
(ウ) Aが禁錮以上の刑に処せられたことにより甲県知事から登録の消除処分を受けた場合、Aはその処分の日から5年を経過すれば登録を受けることができる → ×
⇒ その刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しなければ再度登録を受けることができない。処分の日から5年ではなく、刑の執行が終わった日から5年が正しい。※執行猶予は刑がそもそも執行されていないので問題ない。
宅建業者・宅建士の比較
宅地建物取引業者の免許の有効期間が満了し、免許がその効力を失ったときは、免許証を返納する必要はなく、宅地建物取引士の宅地建物取引士証の有効期間が満了し、宅地建物取引士証が効力を失った場合も、宅地建物取引士証を返納する必要はない → ×
⇒ 宅建業者が免許の有効期間満了することで免許が失効した場合は、免許証を返納する義務はない。
宅建業者が免許証の返納義務を負うのは以下の場合。
①免許換えにより免許の効力がなくなったとき
②監督処分として免許を取り消されたとき
③亡失した免許証を発見したとき
④廃業等の届出をするとき
これに対し宅建士が宅建士証の返納義務が求められるのは以下。
①宅建士の資格が消除されたとき
②宅建士証が効力を失ったとき
よって宅建士証の有効期間5年を経過して効力を失った場合は上記の②に該当し、宅建士証を返納しなければならない
宅地建物取引業者の免許証には、主たる事務所の所在地が記載され、宅地建物取引士の宅地建物取引士証には、当該宅地建物取引士の住所が記載される
⇒ 宅建業者の免許証には主たる事務所の所在地が記載される。宅建士の宅建士証には宅建士の住所が記載される
※宅建士証を重説の際に提示する時は個人情報保護の観点で住所蘭にシールを貼っても問題ない
宅地建物取引業者が業務停止処分を受けたときは、その旨が公告されるが、宅地建物取引士が事務禁止処分を受けたときは、その旨が公告されることはない。
⇒ 国土交通大臣または都道府県知事が、宅建業者に対して業務停止処分や免許取消処分(指示処分は除く)をした場合は、その旨を公告しなければならない
これに対し宅建士に対する監督処分(指示処分・事務禁止処分・登録消除処分)をした場合の公告制度はない
宅地建物取引業者が免許証を亡失したときは、免許証の再交付申請をしなければならず、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を亡失したときは、宅地建物取引士証の再交付申請をすることができる
⇒ 宅建業者は滅失・汚損・破損した場合は遅滞なくその免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に再交付申請をしなければならない。
これに対して宅建士は上記と同じ理由等で亡失した場合でも、再交付申請の義務はなく、再交付したい場合は交付を受けた免許権者に申請すればよい。
営業保証金
営業保証金は、金銭のほか、国債証券、地方債証券、その他国土交通省令で定める有価証券でも供託できるが、有価証券はその種類に応じて、額面金額の100分の90または100分の80のいずれかの価額に評価される → ×
⇒ 有価証券はその種類に応じて国際証券は額面金額で、地方債証券および政府保証債証券は額面金額の100分の90、その他の有価証券は額面金額の100分の80の価額に評価される。
よって有価証券とひとくちに言っても国際証券は額面金額で評価されるので誤り
営業保証金の還付がなされたときは、宅地建物取引業者は。その不足額を供託しなければならないが、その供託は還付がなされれば、その旨の通知がなくても行わなければならない → ×
⇒ 営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することになった場合、宅建業者は免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
よって、還付がなされたときに通知がなくても供託しなければならないわけではない。
Aが新たに甲県内に宅地建物取引業を営む支店bを設置したが、同時に従来の支店aを廃止したため、事務所数に変更を生じない場合、Ah新たに営業保証金を供託する必要はない。
⇒ 本店を移転するわけではなく、支店数にも変更が生じないため新たに営業保証金を供託する必要はない。
本店が移転する場合は主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
Aは免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため、Aとの宅地楯も取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは、2週間以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。 → ×
⇒ 免許が有効期間の満了により失効した場合、宅建業者であった者は供託していた営業保証金を取り戻すことができる。この場合、免許が失効してから10年の経過を待たずして営業保証金を取り戻すためには還付権者に対し6か月以上の期間を定めて、その期間内に宅建業者の免許権者に申し出るべき旨を官報で公告し、その期間内に還付請求権者申し出がないことが必要。
そして宅建業者であった者が、取り戻しのための公告をしたときは、“遅滞なく”その旨を免許権者に届け出なければならない。「2週間以内に」届け出なければならないとする本肢は誤り。
重要事項の説明
宅地建物取引業者Aが行う宅地建物取引業法35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか
宅地建物取引業者Aは1棟のマンション(20戸)を競売により取得し自ら借主を募集して宅地建物取引業者ではない者と賃貸借契約を締結しようとする場合、宅地建物取引士による説明を行う必要はなく、35条の規定に基づく書面を交付する必要もない
⇒ 自ら借主を募集というのは言い換えれば自ら貸借と同義。賃貸で直接契約する際は宅建業にあたらないため、35条書面とかは不要。
重要事項説明の際に宅建士は説明の相手方から請求がなくても宅建証を提示しなければならない。この提示を怠ると当該宅建士は10万円以下の過料に処せられることがある。
⇒ 宅建業者Aが過料に処せられることはない。
Aが自ら売主となるマンションが工事完了後数年経過したものである場合、完了時における形状、構造、その他国土交通省令で定める事項については説明する必要はない。
⇒ 工事完了前の未完成物件の場合は、完了時における形状、構造、その他国土交通省で定める事項(主要構造部、内装・外装・構造・仕上げ並びに設備の設置及び構造)を重要事項として説明する必要がある。
監督処分
国土交通大臣は、免許を受けた宅建業者Aに対し、宅建業の適正な運営を確保するため必要な指導を行おうとするときは内閣総理大臣に協議しなければならない →×
⇒ 国土交通大臣は、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者に対して、消費者の利益保護に関わる規定に違反したことを理由に、監督処分(指示処分・業務停止処分・免許取消処分)を行おうとする場合、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならない。
指導・助言・勧告という監督処分以外の行為においては内閣総理大臣と協議する必要ない
甲県知事はその免許を受けた宅建業者Bの事務所の所在地を確認できないときは、その旨を公告し、当該公告の日から30日以内にBから申出がない場合、甲県知事は公開の聴聞を行うことなく、Bの免許を取り消すことができる。
⇒ 免許権者である国土交通大臣または都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者の事務所の所在地を確知できないときは、官報または当該都道府県の広報でその事実を公告し、公告の日から30日を経過してもその宅建業者から申出がないときは、宅建業者の免許を取り消すことが可能。この場合の免許取消処分は聴聞不要。
宅建業者Cは、マンション管理業に関し不正または著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合Cは甲県知事から法に基づく指示処分または業務停止処分を受けることはない (※法 = 宅地建物取引業法)
⇒ 宅建業の業務に関して他の法令に違反した場合は指示処分また業務停止処分の監督処分を受けることがあるが、マンションの管理の適正化については宅建業の業務ではなく、宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした場合にも該当しないので、Cが業務停止処分を受けたとしても、宅建業法に基づく指示処分及び業務停止処分は受けることはない。
宅地建物取引士Dが宅地建物取引業法に違反して罰金の刑に処せられたときは、1年以内の期間を定めて、宅地建物取引士としてすべき事務の禁止の処分を受けることがある。 → ×
⇒ 宅建士が宅建業法に違反して罰金刑に処せられることは、登録の欠格要件に該当し、都道府県知事はその登録を受けている宅建士の登録を消除しなければならない。事務禁止処分を受けることはなく、より重い登録消除処分を受ける。
報酬規制
宅地建物取引業者Aが、B所有の宅地について、売主Bから売却の代理の依頼を受け、又は売主B及び買主Cから売買の媒介の依頼を受けて売買契約を成立させた場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか
宅地の代金の額が300万円である場合、現地調査等の費用が通常の売買の代理に比べ4万円多く要する場合、その旨をBに説明し合意したときに、AがBから受領できる報酬の上限額は、Bから媒介の依頼を受けた場合の2倍に相当する36万円となる。 → ×
⇒ 低廉な空家等の報酬の特例は、空家でない建物や宅地も含むので、本肢の「代金の額が300万円に宅地」にも適用される。そして特例を適用するときは、例えば売買の媒介の場合であれば以下の点に留意を要する。
①依頼者である空家等の売主から受領する報酬に限定
②特例について依頼者(売主)に説明し合意すること
③受領できる報酬の上限は、通常の報酬額の上限(代理であれば基準額の2倍)に、通常の売買等と比べ、特に多く要する現地調査等に要する費用を加えた額であり、かつ基準額に特に多く要する現地調査等に要する費用を加えた額が18万円以内(消費税等を含めれば19万8000円以内)でなければならい
すると、本肢では300万円の宅地であるから、代理の依頼者である売主Bから受領する報酬の上限額は、300万円×4%+2万円=14万円(基準額)に通常の代理と比較して4万円多く要する現地調査等の費用を加えると、18万円(限度額いっぱい)となり、さらに基準額14万円を加えた32万円が受領できる報酬額の上限となる。これを単純に低廉な空家等の売買の媒介の上限額18万円を2倍にした36万円とする本肢は誤り
宅地の代金が1100万円である場合、Aが媒介の依頼を受けたBから受け取ることのできる報酬の上限額は36万円である → ×
⇒ 宅地の代金には消費税が課税されないので、代金1100万円から消費税分を抜いて計算する必要はない。よって、宅地の売買の媒介の依頼を受けたAは、1100万円×3%+6万円=39万円を上限に、媒介の依頼者の一方であるBから報酬を受領できる
Aが宅地の売買の媒介をするにあたり、特にBから依頼されて特別の広告を行った場合、仮に当該売買契約が不成立に終わったときでも、Aは広告料金に相当する額をBから受領することができる → ○
⇒ 媒介・代理をするにあたり、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額(実費)は、報酬とは別に、また仮に売買契約が不成立に終わっても依頼者から受領することができる。
宅地の代金が2000万円である場合、Aは、B及びCの双方から媒介の依頼を受けたときは、双方から受領する報酬額が合計で132万円を超えない限り、B及びCからどのような割合で報酬を受領してもよい → ×
⇒ 代金2000万円の宅地の売買の媒介をした場合、Aは依頼者の一方から、2000万円×3%+6万円=66万円(基準額)を上限に報酬を受領することができる。そして本肢における売買の媒介の依頼者は、売主B及び買主Cの双方であるから、Bから66万円。Cから66万円を上限に報酬が受領できる。合計が132万円を超えてはならないが、それに加え、依頼者の一方であるB又はCから受領する報酬額は66万円を超えてはならない