チャージマン研!でエンタメ制作の苦労を垣間見る


どうも、みなさまこんばんは。
今回は『チャージマン研!』について語りたいです。

チャージマン研!とは1974年に制作されたアニメで、
マツコ&有吉の怒り新党』という番組でも
取り上げられたことがあり、
主にネット界隈で2010年頃より注目をされ始め
人気(?)が地味にある伝説のアニメになります。

基本的に伏線もクソもない作品なので
ネタバレ全開で書いていきます。

それではどうぞ!


チャージマン研とは

1973年にナックという会社が制作し、
TBSテレビなどで番組販売の形式で放送されていたようです。
1話あたり5分ほどで全65話となっております。
基本的には1話完結で終わるので気軽に視聴することが出来ます。

物語の舞台は2074年の地球で、
科学が飛躍的に発展した未来都市に
地球侵略を目論むジュラル星人が攻めてきます。
泉 研(いずみ けん)という10歳の少年(主人公)が
チャージマンに変身しジュラル星人を倒して
地球の平和を守っていくという
体裁をとったストーリー進行になっています。

しかしこのアニメは非常に低予算で制作されていたらしく、
たまにキャラクター同士の会話が成立していなかったり、
突拍子もなく戦闘が始まったかと思えば急に終わったり、
無駄に長い尺伸ばし用の同じシーンがあったりと、
ツッコミどころが満載となっています。
視聴者側が汲み取れば大概は理解できますが、
稀に本当に意味が分からないものもあります。

そんな部分がウケて主に2ちゃんねるやニコニコ動画などで
2000年代後期からネット上での人気を獲得しました。



正義のヒーロー?

研はジュラル星人を滅ぼしてやると
どこかの回だか忘れましたが発言しています。
困っている人がいても基本的に助けたりはせず、
ジュラル星人が悪さをしている時にチャージマンに変身し
アルファガンを使って駆逐していきます。
研はあくまでジュラルの敵であって、
人類の味方ではないことが窺えます。

変身することに関しては1話からいきなり当たり前になっていて
過去回想や、どうしてチャージマンに変身できるようになったか
などについての経緯は一切語られておりません。
そして変身する際の決め台詞も毎回テンションが異なっています。
テンションが高い時もあれば低い時もあり、
それこそ、その部分の音声を使いまわせば良いのに
なぜか変身シーンは毎話撮っているようです。
ちなみに変身しても外見的な違いはヘルメットを被っただけで、
一体なにが強化されたのかよく分かりません。

ジュラル星人も基本的には地球侵略のために
かなり回りくどい地道な戦略で征服を企んでいますが
ことごとく研によって計画が失敗に終わってしまいます。
無抵抗でやられるシーンが非常に多いため
本当は悪いやつらではないのでは?という
視聴者の意見もあるようですが
一般人を殺したり色々と残虐なこともしています。
中には心を持ったジュラル星人も登場するのですが、
謀反者扱いで大体殺されてしまいます。
研は内輪揉めを仲裁せずに見殺しにしています。

ちなみにジュラル星人の一番偉いやつが魔王なのですが、
チャージマンの脅威に関して「気にするな!」と言ったり、
色々と戦略的な思考がぶっ飛んでしまっているようです。
しかし11話で地球に隕石が衝突する可能性があるという回では、
侵略する地球という星が無くなってしまっては困るということで
研たちと協力して隕石の軌道をずらします。
魔王は地球が無事でよかったと安堵する一方で、
研は地球のことよりもジュラルの科学力の脅威に警戒していました。

どちらも正義とは言い難い存在であり、
なんとも微妙な対立関係となっています。
ちなみに体裁上、研は正義の味方っぽく描かれますが、
やはり道徳心であったり倫理観であったりと
ちょっと足りていない部分が目立ちます。
(たぶんスタッフの人間性がそのまま反映しているだけだと思いますが)


謎の倫理観

上述した部分を重複する箇所もあるのですが、
このアニメの倫理観がテレビ放送するには著しくズレており、
高速道路で困ってる人を見てはみんなで爆笑したり、
精神病院を「こんなところ」と言い放ったり、
車で人を轢いたり、放火を見逃したりと、
当時の時代によるものなのか分かりませんが、
面倒な描写はすべて省いている節があるように思えます。

そんなぶっ飛んだ倫理観・道徳心で繰り広げられる作品ゆえに
ツッコミどころが非常に多く笑いを誘ってきます。
基本的に何の話がヤバいとかそういうレベルではなく
ほぼ全話大体ヤバいです。


演出・脚本の大切さ

このアニメを見てふと思うのは、
改めてアニメや漫画やドラマの制作という、
物語でエンターテイメントを届けることは
非常に困難で大変でしっかり考えなきゃいけないものなのだと
思い知らされます。

5分という短い枠の中で、
自然な流れの話を作るとなると、
ある程度シーンを多く用意しなくてはならなかったり
声優さんのしゃべる量も膨らんでいきます。
放送ペースがどれくらいのスパンで
日々制作していかなくてはならなかったのかは分かりませんが
予算に対して考えるとけっこうハードそうですね。
汲み取れば8割くらいは理解できるのですが、
当時の視聴していた子供たちはどう思っていたのでしょう。

クレヨンしんちゃんだったりドラえもんだったり
子供向けのアニメって意外と心にくる良い話が多く、
大人が見ても全然楽しめたりするのですが、
このチャージマン研!に関しては本当に子供騙しで、
ツッコミどころが満載で
むしろそこが面白いのですけど
おかしい部分が理解できる年齢じゃないと
笑えないとは思います。

そう考えた時、
昨今のアニメ作品はいかに苦労して
自然さを演出して作られたかがよく分かります。
物語を作るということは
作ったものと感じさせない自然さが
とても重要かつそこに面白さや感動的な演出が加わって
初めて評価を得られるわけですから
相当なクオリティの高いものを
我々は楽しんでいるわけですね。


伝説の回 5選

チャージマン研!の中でも特に有名どころの
ぶっ飛んでいる回を抜粋してみました。

第4話「謎の美少年」

YouTube

この回は星くんという少年が、
1話きりの登場にも関わらず
根強い人気を獲得しました。
「たなびたいことがあるんだ」「ヴェイ!」などと
強烈な名言が炸裂しています。




第16話「殺人レコード恐怖のメロディ」


この回は「キ○○イ」というワードがさらっと使われ、
非常に問題作となっております。
ジュラル星人もレコード屋を経営して
研たちがレコードを買うのを地道に待っていたようです。
研も「ジュラル星人の仕業に違いない」
と凄い剣幕で断定します。
最後は研の意味の分からない爆笑シーンで終わります。




第23話「恐怖!精神病院」

YouTube

これも倫理的な問題が詰まった回となっており、
精神疾患のある人へ配慮が全くなく
完全に偏見で作成されたように見えます。
精神病院と刑務所を混同しており、
「こんなところ」と研のパパも言ってしまっています。
時代によるものというよりかは
制作スタッフ個人の偏見で作られており、
最後はお決まりのみんなで爆笑です。




第25話「雄一少年を救え!」


伝説の名言「これから毎日家を焼こうぜ」の回です。
しかしこの発言は実際に言われた言葉ではなく、
雄一くんの頭の中で昇華されたものとなっています。
最後は雄一くんの家庭問題も解決した風に見せていますが、
なんにも解決しちゃいないと思います。




第35話「頭の中にダイナマイト」

YouTube

ニコニコ動画コメント付き(自分が初めてチャー研を見た時のコメの様子です)…


この回のボルガ博士という海上都市を作った人が
ジュラル星人によって改造されてしまい、
頭の中に爆弾を仕掛けられてしまいます。
なぜ研はボルガ博士が連れ去られる犯行現場を
目撃しているにも関わらず一旦帰宅したのか。
そして「もう人間じゃない」という理由で、
ボルガ博士を殺してしまいます。
最後はしんみりした終わり方をしますが、
解決方法はもっと他にたくさんあっただろうと
つっこまざるを得ない伝説の回となっています。




クセになるBGM

この作品はなんといっても
頭にこびりつくようなBGMも魅力の一つです。
気が付くと、ふと日常の生活の中で
脳内再生してしまっている自分が怖いです。



総評

視聴者をなめてるようなクオリティですが、
なぜかクセになる中毒性があり、
YouTubeのおすすめに表示されていると、
視聴してしまっている自分がいます。

話自体はすごい伏線が張り巡らされているわけでもなく
テーマも別に感動的な要素もなければ
応援したくなるような熱いヒーローものでもないのですけど、
ぶっ飛び方が斜め上を行き過ぎていて、
非常に面白い作品で僕は好きですね。

あまり万人受けするようなものでもないとは思いますが、
1話5分と非常に短くて気軽に見れるものですので、
本当に暇つぶしに最適な作品ではあると思います。

ニコニコ動画にはMADなどが結構溢れており、
アニメ『学校の怪談』と『チャージマン研!』を混ぜた、
学校のキチ談という作品は非常に面白いので
併せて見てみてほしいです。


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