人と時代と機械が織り成すバンピートロット


どうも、みなさんこんにちは。
今回はPS2用ソフトの『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』について語っていきます。

バンピートロットとは2005年6月30日にアイレムソフトウェアエンジニアリング株式会社から発売されたゲームで、当時中学3年生だった僕は発売日に地元のソフマップへ買いに行った記憶があります。
発売する前から注目していたゲームで、頻繁に公式サイトのPVをWindows Media Playerで何度も何度も見ていたのは良い思い出です。PV見てこれ神ゲーだろって確信がありました。
そんなバンピートロットを若干ネタバレ有りで語っていきます!


バンピートロットとは何なのか

このゲームの世界観なのですが、イギリスの産業革命期をモチーフにしたものになっていて、ゲームのキャッチコピーにも「もう一つの産業革命」と銘打ってあります。
現実の世界を舞台にしており、ファンタジー的な魔法だのドラゴンだのの類は一切出てきません。しかしトロットビークルという架空の乗り物が登場します。
このトロットビークルというものは自動車が誕生した頃と同じくらいに開発されたもので、産業革命期の火付け役となりました。人々を幸せにするはずだったという紹介もされていますが、実際にどのような扱われ方をしていたのかと言うと、農耕用・警察用・消防用・水上用など多種多様で、人々の生活を支え、その人間たちの営みに欠かせないほど社会に溶け込み大きなインフラのひとつとして確立されていました。
生活だけでなく、人々の争いに活用することも当然でき、ゲームの中でも主に戦闘として活用されます。無法者たちがいきなり市民を襲ったり、戦争の道具として使われることもありますが、コロシアムのような興行として正当に使われることもあります。

そんな世界観をベースに物語が始まるのですが、主人公はバニラビーンズという少年で、記憶喪失をしており海岸に打ち揚げられているシーンから始まります。これといった個性や主張はなく、基本的にすべてプレイヤーの選択肢に委ねられるという斬新な設定となっております。主人公が発言する選択肢の1つに「そんなことよりおなかがすいたよ」という話の脈絡を無視させる名言も存在します。
海岸で記憶喪失になっていると、コリアンダーという少女の呼びかけによって目を覚まし、記憶を取り戻すため一緒に行動することになります。
このコリアンダーという少女はコニーという呼称で親しまれ、「トロット楽団」というバンドのような活動をして国中を周っています。
楽団メンバーは他にもマジョラム、バジル、フェンネル、セイボリー、ダンディリオンという人物らがおり、主にコニー、マジョラム、バジルが主要メンバーとなっています。

物語は先ほど上述した通り、プレイヤーの選択に委ねられることが多く、物語の芯となる部分も、この選択によって大まかに善人ルート、悪人ルートとエンディングが分岐しており、主人公の過去であったり、トロット楽団のメンバーの真の姿であったりと、片側のルートでしか判明しない場合があるため1周目クリアとかではこのゲームの全貌は掴めないようになっているところが面白いところです。
ゲームとしてのボリュームもマルチに分岐しているため相当な量であることが窺えます。
基本的に善人ルートではキャラクターの素性がすべて洗い出されるのでTRUEルートみたいなところもあって、最後は衝撃の展開のような感じもありつつも良い終わり方になっています。
悪人ルートでもギャグっぽい感じで最終的に警察に捕まって終わります。
サブクエストも豊富にあり、街の人々の人間関係や繋がりが見えてきて、メインそっちのけで夢中になれるところもあります。別のゲームで例えるとムジュラの仮面のような感じで、人(NPC)がしっかりとその世界で生きているのを感じさせられますね。

とにかく当時の僕は自由度の高いゲームを欲していて、まさにこのゲームが俺の求めているものだとドンピシャでした。ストーリーもしっかりと作りこまれたものとなっており伏線もしっかり生きてきます。


洗練されすぎたプロモーションビデオ



このPVが僕が当時食い入るように見ていたPVのひとつなのですが、PVのバージョンもたしかいくつか種類があって、当時はYouTubeなんてものは全然世間的に知られていなくて、企業がプロモーションとして投稿するなんて有り得ないみたいな最初期の時代でしたから、動画ファイルをWindows Media Playerでストリーミングダウンロードして見るという形式でした。
若干誇張すぎる部分もあったりはするのですが、このゲームの本懐というか芯はしっかり食ったような説明になっていて、見ている人間をその世界へ没入させてくれるナレーションが素晴らしいです。
それでいてゲームをプレイしてみると、実際にこのPVの通りの世界観なのですが、ストーリーがとにかく予想の斜め上をいく感じで、PVで絶対にネタバレしないぞっていう、とっておき感というものが開発スタッフさんたちの中でもあったのでしょう。とにかく人と時代と機械が織り成すという表現が本当にぴったりな内容になっています。

曲がふつうに神がかっている

このゲームの売りとして、自由度・ストーリー・作りこまれた世界観といったものを挙げてきましたが、さらに肝となるものが〝音楽〟です。
この音楽というのはBGMではなく、ボーカル曲なのですが、トロット楽団として演奏できる楽曲が物語を進めていくに連れてどんどん増えていき、最終的には5、6曲くらいまでになるのですが、まぁ普通にめちゃくちゃ良い曲なのです。
ゲーム中ではゲーム用の曲の長さになっていて、音ゲーのような感じで主人公が演奏をしている体で遊ぶことができます。

ボーカルトラックスというものも発売されてまして、ゲーム中の曲の長さとは違うちゃんとしたフル尺での楽曲が収録されています。 当時地元のアニメイトへ自転車を漕いで買いに行ったのを覚えています。
今でも普通に通勤中にiPhoneからシャッフルで流れてきたら聴いてます。
PS2のゲームだけのスペックだと出力できる音の種類にも限界があるため、このボーカルトラックスで真の楽器演奏に耳を傾けるのもまた違った印象を抱くことができて良いです。

曲はすべてナディア・ギフォードさんという日本とアメリカのハーフの歌手の方が歌っており、詞は全て英語となっています。作曲は別の方ですが、作詞はナディアさんが書かれている曲もあるようです。

だいたい全曲YouTubeで探せば聴けると思うので良かったら聞いてみてください。

In Your Voice

一番最初に演奏できる曲で、PVで流れている曲もこの曲になります。
作中の曲の中では明るめの分類に入ると思います。
詞の内容も落ち込んでいる人を前向き励ますような内容で、フル尺の場合はAメロ、Bメロ、サビ、Cメロとはっきりしていて分かり易い曲です。
明るくさせるような曲でかつ、わりと聴くシーンが多めなので胃もたれ感もあります。
酒井敏之さんという方が作曲をし、ナディアギフォードさんが作詞したようです。

Impossible

この曲は砂漠あたりで演奏できるようになったような気がします。
曲調はしっとり目な感じにまとまっていて、サビはしっかりメリハリの効いた目立つ旋律と歌声で際立たせてくれています。
最後のサビサビサビ~な部分のボーカルの力の入り方とサックスの入り込みが秀逸です。
詞の内容も切ないものとなっていて、私を翔べなくしたはあなたみたいな感じの曲です。短絡的な思考で与えられた文だけを捉えるのではなく、なぜ翔べ なくなったのか、その行間にはどんな人間ドラマがあるのか、ゲームの中で曲のことについて詳しく語られるわけではありませんが、曲を聴いて五感を使って想像してみてください。
作詞・作曲は鎌田純子さんという方がしたそうです。

I cry

この曲は港あたりで演奏できるようになった曲だと思います。
この曲も鎌田純子さんが作詞・作曲をしています。
詞の内容としては私だけを愛してほしいみたいな曲です。言葉に惑わされて心を搔き乱されて疑心暗鬼になっているような感じ、でもあなただけ側にいて欲しいのみたいな、詞の内容としてはありきたりな悩める女性の恋心のような感じですが、なんといってもメロディーが凄まじく切なさを醸し出していて曲自体のグレードをより一層格上げさせているように感じます。
余談ですがこのバンピートロットの世界にはエレキギターはまだ発明されていないのですが、曲にはがっつり音が入っています。笑

Just shout it out

この曲はクリア後に手に入る曲で攻略サイト見て知りました。
この曲も鎌田純子さんが作詞・作曲をしています。
当時中学生だった僕はこういう「叫び」みたいな曲が好きでした。
サビがフォーマルな感じで楽団の曲というよりはバンドっぽい曲です。
使っている楽器もバンドっぽいものメインな気がします。
最後の大サビのところの気迫とドラムのドゥルルルルな部分が生きてる曲って感じを強く思わせてくれますね。

See You Later

この曲はゲームのエンディングで手に入る曲かつ、エンディング曲です。
作詞・作曲は前田真寿美さんという方です。
曲の旋律もまさにエンディングって感じの曲です。
前述で説明した通り、大きく分けて善人ルートと悪人ルートがあり、エンディングもそれぞれ違うのですが、曲だけはどちらのルートでもこのしんみりした良い曲で終わります。
僕は初見で悪人ルートの選択でプレイしていたのですが、この曲に乗せてのエンディングはシュールというかギャグだろこれって感じで、それはそれでとても楽しめました。
曲自体は本当に良い切ないメロディーに仕上がっていて、詞の内容もまさにバンピートロットの集大成となる、ヒロインであるコニーの感情の吐露になっています。


自由主義者の夢の果てに

このゲームの面白いところは選択肢で主人公をいかようにな人間にも変えられるまさに自分好みのプレイスタイルのゲームなのですが、常に逆張りをして相手を否定して物語を進めていくこともできます。

自分の好き勝手な生き方をして周りから人間も離れていき、似たような利益だけが目当てのような人間しか寄り付いてこなくなるわけですが、もし主人公がトロットビークルの操縦の才能もなく、楽器演奏の才能もなかったとして、なんの利益も生み出せない碌でもない人間だったとしたら考えた時に、優しく接してくれていたトロット楽団の人々からは距離を置かれ、金にもならない能力のため悪の組織からも必要とされず、人間的には逆張りばかりで信用もないわけですから誰からも道具としても扱ってもらえない、ただの社会不適合者となるわけです。

自分の心に正直生きていくならまだ良いですが、心の歪みによって相手を否定せずにはいられない性分な人間って、現代の社会を見てみると、意外と一定数はいるんじゃないかなぁと僕は見受けています。主にネット上の人間ですが。
そんな人間ほど匿名で人の悪口や落ち度を肴に生きているような感じですし、まともなフリをして実は発達障害だとか鬱病だとか病気を盾にしちゃったりするパターンも多いです。

選択肢のあるゲームは明暗が分かれることが多いですが、一度きりしかない自分の人生は常に結果は1つしか存在しません。だから、自分に嘘はまず付かない生き方をしたいし、けど他人にも不快な気持ちにさせないような生き方を心掛けていきたいなと。自由主義・個人主義って時代がそうなってきていますが、たかだかそこらの人間個人がそんなに尊重されることなんてないぞと、こういう選択肢ゲーをやると毎回思う僕個人の感想でした。

バンピートロット2

このゲームには続編が作られる予定でした。
最初はPS2で開発されていたのですが、PS3での発売とシフトチェンジし、しかし音沙汰なく開発中止と発表がされました。
僕はこのゲームを買って最後までプレイしてプレイ後も遊び尽くして心底ファンになったので、常にバンピートロット2の情報は追っていたのですが、非常に残念な結果となってしまいました。
PS3も本体買うのに当時めちゃくちゃお金必要だったので、本当にバンピートロット2が出たら買おうかなとは思っていたのですけど、発売することはなかったのでPS3を買うことはありませんでした。

↑PS2で開発されていたもの

↑PS3で開発されていたもの

開発段階のプロモーションビデオもそれぞれのハードで存在しています
PS2版 → https://youtu.be/PLngDsbm4Ps
PS3版 → https://youtu.be/6e8Oz8ndLTQ

ヒロイン自体が変わってしまっていますが…
使われている主題歌っぽいものはどちらのハードも同じものですね。
From Me To Youという曲です。
もうひとつThe Beauty Ofという曲もあるようです。
これらの曲は完全にお蔵入りとなってしまったのですが、micchyさんというシンガーソングライターが作曲された楽曲のようです。
ゲーム版はナディアギフォードさんが歌ったものになっていますが、micchyさんの原曲版も存在しているようです。

僕は日々の楽しみをこのゲームで遊べる日がいつかくるんだと思っていた時期もあり、2ちゃんねるのバンピートロットスレではPS2からPS3に変更になってヒロインが違うぞ!?ってなったときは結構荒れていたような気もします。僕もヒロインはミントが良い!って書きこんだ気がします。
いやぁ、今でも待ってますよ・・・!バンピートロット2

バンピートロット、すてきな世界観の作品です!!

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