目次
22話~25話 (page.8)
特に意識していなかった
草摩由希 (2nd Season 22話)
最初の頃は ただのクラスメイトで
テント暮らしをしていた変な人
あの家に招いたのも
彼女が困っているからって以上に
草摩や物の怪憑きとかに対する馬鹿な反抗心が
心のどこかにあったからにも思う
でも、彼女は言った
曇りなく 真っ直ぐに
「記憶が消されちゃっても
またお友達になってくださいね」
俺 憧れてたんだ
草摩由希 (2nd Season 22話)
親の愛情って よく知らなくて
だから 嬉しかった
俺の弱音を 嫌な顔ひとつしないで
じっと聞いてくれたこと
受け止めてくれたこと
こういう弱い人間もいるんだってことを
否定しないでくれたこと
嬉しかったんだ
安心したんだ
降り続く優しさに
草摩由希 (2nd Season 22話)
無償の愛に満たされて眠る
子供のように
身体も心も預けて
放り出して
甘えられる場所
リン
リンもそうだったんだろ
お母さんを
母親の愛情を求めていたんだ
本田さんに いつの間にか
どうしたいわけでもない
草摩由希 (2nd Season 22話)
ただひたすら
居心地の良い場所で甘えていたい
いつまでも
焦った
自分のそういう考えに気付いた時
戸惑った
すごく すごく恥ずかしくて
認めたくなくて
気付かないふりをした
すぐに 蓋をした
そんなことないって
男として 女性として
接しようと
でも 違うんだ
そんなことが理由じゃないんだ
草摩由希 (2nd Season 22話)
敵わないとか
良いとか悪いとか
正しいとか間違いとか
そんなことどうでもいいんだ
そういう気持ちで成り立つ二人だっているだろうし
それはそれでいいんだ
そんなことはどうだっていいんだ
ただ俺は
俺は嫌だ!
俺は、嫌なんだ!
そんなの
淋しいんだ
見つけ出したいんだ
今度こそ 自分の力で
君がくれた
草摩由希 (2nd Season 22話)
たくさんの優しさや
温もりを糧に
もう一度歩き出したい
暗闇に負けたくない
信じて進みたい
今度こそ 無駄にすることなく
諦めてるわけじゃなくて
諦めが悪いんだ 本当に
欲張りなんだ
俺だけの
生きてる証を
見つけ出したい
誰にも話さずにいたこと
草摩由希 (2nd Season 22話)
話しちゃったからかな
今まで全く違う世界にいた人間に
聞いてもらえたからかな
こいつって実は
すごく優しいからかな
大切な人
草摩由希 (2nd Season 22話)
憧れの人
欲しくてたまらなかったものをくれた
尊い人
幸せになってほしい
誰よりも
君だって
君だけの証を見つけていいんだ
自分らしく 自由に
たまには拗ねて怒れる場所
きっとくる
その時に
伝えることもできるはず
たくさんの ありがとうと一緒に
曇りなく 真っ直ぐに
馬鹿にしやがって
草摩夾 (2nd Season 22話)
なんにも 知らねぇくせに
父親も母親もそばにいて
まわりに褒められて必要とされて
人が必死になってる上を
軽々飛び越えていくようなやつに
俺の気持ちなんか一生分かるもんか
何不自由なく生きてきた王子様には
なんにも手に入れられないやつの気持ちなんか
ないものねだりのバカなやつのバカな望みなんか
一生・・・!
────
「そうであってほしいんだろ?
嫌な奴が居てくれないと
自分が困るんだろ?」
思わない
倉伎真知 (2nd Season 22話)
会長はどこも
王子らしくなんかない
せっかく会えるチャンスが手元にあるのに
魚谷ありさ (2nd Season 23話)
無駄にするってか!?
そんなんじゃ会いたくても会えないやつは
どうすりゃいい!
会いたいのに… 会いたいのに…
会いに来いコラァーーー!
ずーっと そうやって
花島咲 (2nd Season 23話)
自分を誤魔化しながら生きていくつもり?
お城の中で
お城の中に閉じ込められて
死ぬまで
王子
草摩由希 (2nd Season 23話)
お前の願いは聞かない
自分の力で叶えてみせろ
春兄って優しいよねほんと
草摩燈路 (2nd Season 23話)
誰にでも 無駄に
でもそういうとこが
リンを悲しませたのかもしれないよね
あのさ
真鍋翔 (2nd Season 23話)
中途半端に優しくして
中途半端に慰めんなら
初めからほっといたほうが
よっぽど親切だと思うけど
大体嫌なこと言われたんなら
言い返せばいいじゃん
言い返せない方も悪いよ
そうだな…
草摩由希 (2nd Season 23話)
その通りだ
正論だ 理想論だ
そして
その理屈に潰される人間だっているんだ
天然の人
倉伎真知 (2nd Season 23話)
それから
心細そうにする人
たくさんの人に囲まれて
王子って呼ばれて
心細そう
まさか そんなはずない
本田透 草摩夾 (2nd Season 23話)
そんなこと 思う自分を許さない
「倉伎さんは何色が好きなの?」
倉伎真知 (2nd Season 24話)
そう訊かれた瞬間
何を訊かれたのか
目の前の人が誰なのか
私はなんなのか
わからなくなった
私は 虚ろだ
でも
草摩由希 (2nd Season 24話)
真知の目には
この世はどんな風に
見えてるのかなって思って
つまらない
倉伎真知 (2nd Season 24話)
私はつまらないのは本当のことだ
好きな色も 好きな場所も
知らない
考えたこともない
ただ望みに応えようと必死になって
だけど 放り出されて
私には
何もない私だけが残った
つまらない存在
あの頃から 何も変わってない
あの人…
あの人は変わった
少しずつ
でも
倉伎真知 (2nd Season 24話)
心細そう
特別扱いされるたび
淋しさがあの人を蝕んでいくようにも見えた
でも今は 心から楽しそうに笑っている感じ
あの人は 変わっていっているんだ
きっと
変なこと訊く人
倉伎真知 (2nd Season 24話)
「この世」なんてよく分からない
私のことも分からないのに
「この世」なんて認識できない
私はいつだって虚ろで
私の存在は虚ろで
何もない
何だか私は
部品の欠けた人形のよう
人間になりきれない壊れた人形
欠陥品
人はいつも通り過ぎてく
私も通り過ぎていく
この人はたちは透明だ
私は透明なの
この世に参加していないのは私
私は必要ですか
私は必要な存在ですか
私は この世に必要ですか
よかった
草摩由希 (2nd Season 24話)
ちょっと来るの早かったかなって思ったけど
真知がいた
別に深い意味なんか無いです
倉伎真知 (2nd Season 24話)
ただ 捨てるのもなんだと思って
しおりに…
ただ それだけ
ありがとう
草摩由希 (2nd Season 24話)
え?だって
大切にしてくれてたから
嬉しい
あ、そっか
草摩由希 (2nd Season 24話)
じゃあ 赤が好き?
質問の答え やっともらえた
覚えてた…
倉伎真知 (2nd Season 24話)
変な人…
俺も慊人を許すよ
草摩由希 (2nd Season 24話)
……違うな
許す許さないの問題じゃなくて
俺 誰かのせいにするのは
もう いやだ
思い通りにならないことを
慊人や母さんや夾のせいにするのは
もう いやだ
俺にだって悪いところや
改めていかなきゃいけないところが
たくさんあるんだってこと
ちゃんと自覚していかなくちゃ
いつまで経っても馬鹿なままだ
誰かの 何かのせいにしてたら
いつまで経っても 変われない
死んではいけない由希!
草摩綾女 (2nd Season 24話)
死ぬときは一緒だと
セーヌの畔で誓い合った日に見た夕陽は
今もこの僕の胸で輝きまくっているよ!!
ごめん
草摩由希 (2nd Season 24話)
君のところへ
俺は決して帰らない
あ、俺
草摩由希 (2nd Season 24話)
はとりにも謝らないといけなかった
子供の頃のこと
心のどこかで
はとりを責めてたかもしれない
ごめん 子供で
はとりだって 傷付いてたのに
去年は
本田透 (2nd Season 24話)
由希くんと夾くんが
仲良くなってくださいますよう
お願いしました
でも今年は
呪いを解くことが出来ますよう
幸せが 訪れますよう
ほんの些細なきっかけでもいい
変化が 訪れますように
空は青いのに寒いよなぁって
魚谷ありさ (2nd Season 25話)
だけど、はとり
草摩紫呉 (2nd Season 25話)
君は覚えたことはないかい?
紅野に 違和感を
彼は そう、紅野は
もしかしたら
認めないかい?
怖いから?
悲しいから?
疎む気持ちがありながら
愛着心も拭えないから?
絆に?
ずるいねぇ
ねぇ
草摩慊人 (2nd Season 25話)
ねぇ紅野
鳥になれるってどんな気分?
あの空を自由に飛べるって
どんな気分?
楽しい?
わくわくする?
いいなぁ
いいなぁ紅野
僕も 鳥になれたら良かった
・・・・・俺はもう、違うんだ
草摩紅野 (2nd Season 25話)
変身をしない
俺の呪いは もう、解けてる
今の君よりもう少し若かった頃に
だからもう、十二支の仲間じゃない
もう もう… 飛べない
突然のことだった
草摩紅野 (2nd Season 25話)
なんの前触れもなく呪いは解けた
急に視界が開けた気がして
自分の中には自分しかいなくて
追い立てるものもなくて
空は青かった
あの空も
もう飛ぶことはできないんだって思ったら
悲しくて 嬉しかった
人になれた気がした
ようやく
嬉しかったよ
ありさとは会わないよ
草摩紅野 (2nd Season 25話)
俺はこれからも
慊人のそばにいるから
たった二回
たった二回だ
ありさと会って話をしたのは
ちっぽけで 些細な出会いだ
このまま会わずに終われば
ただの 些細な思い出になって
いつか消えてなくなる
それだけのことだ
会いたい・・・!
草摩紅野 (2nd Season 25話)
会いたい 会いたいけど・・・
たった二回 だったけど
初めて 人間になった自分が
自分で好きだと思った人だったけど
いくらでも 本当は抱きしめられる
俺はもう 物の怪憑きじゃない
他の十二支のみんなが
今も苦しんでる呪いから
易々と解放されてる
俺だけ 俺だけ自由で
どこにだって行ける
誰だって愛せる
だけど だけど
だからこそ
慊人のそばに
そばにいてあげなくちゃだめなんだ
何…?その目
草摩慊人 (2nd Season 25話)
さっきから
嫌
どうして そんな遠い
遠い 遠い目で僕を見るの
いやぁ!
行かないで行かないで行かないで!!
どこにも行かないで!
離れないで!!
そばにいて!!
離れないで!!
僕のそばにずっといて!
僕を置いていかないで!!
僕を!!僕を!!僕を!!
僕を見捨てないでぇ!!!
紅野!!!
お願い… お願い…
お願いだから・・・・
いかないで──
慊人にとって
草摩紅野 (2nd Season 25話)
俺たちの絆は全てなんだ
神様は十二支がいないと成り立たない
だから 誓った
呪いが解けたあの日に
そばにいるって
それで
あの子がもう
泣かずに済むなら
他の十二支のみんなを騙して
酉に憑かれたままのふりをして
それであの子が泣かずに済むなら
そう 思ったんだ
同情したの?
草摩紫呉 (2nd Season 25話)
だって もう 呪いは
絆はないんだろ?
突き放すべきだったんじゃないかい?
慊人さんのために
その時も
今も
突き放すなんて 出来ない…!
草摩紅野 (2nd Season 25話)
たしかに呪いは解けたけど
あの頃感じた絆ももう
失くしてしまったけど
憐れみから
抱いているのかもしれないけど
突き放せない…!
誓った 誓ったんだ!
そばにいるって
あの子が俺を必要としなくなる
その日まで
ずっと
壊れそうなほど泣いてすがった
この子のために
生きて いこうって
誰よりも弱くて
誰よりも脆くて
臆病な あの子のために
哀しい女の子のために